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2016 年度 実績報告書

イギリス・ヘリテージ映画とナショナル・アイデンティティに関する文化史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25284059
研究機関上智大学

研究代表者

新井 潤美  上智大学, 文学部, 教授 (70222726)

研究分担者 西川 克之  北海道大学, メディアコミュニケーション研究院, 教授 (00189268)
松本 朗  上智大学, 文学部, 教授 (00365678)
小山 太一  専修大学, 商学部, 教授 (00406670)
佐々木 徹  京都大学, 文学研究科, 教授 (30170682)
丹治 愛  法政大学, 文学部, 教授 (90133686)
草光 俊雄  放送大学, 教養学部, 教授 (90225136)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワードヘリテージ映画 / ジョー・ライト / ディヴィッド・リーン / ロマン・ポランスキー / 『つぐない』 / 『テス』 / 『ヘンリー五世』 / 『インドへの道』
研究実績の概要

今年度は、全部で6回の公開研究会をおこない、10件の研究発表をもとに、活発なディスカッションをおこなった。そのうち、ヘリテージ映画に特化した発表のみあげていくと、第1回目(6月4日)は、ジョー・ライト監督の『プライドと偏見』と『つぐない』を小山太一と末廣幹(ともに専修大学教授) の二人がとりあげ、原作との異同や映像分析のそれぞれの面で、両作品のヘリテージ映画性を定義した。
第4回目(1月21日)は、加藤めぐみ(都留文科大学准教授)が、カズオ・イシグロが脚本を書いた『上海の伯爵夫人』を、「世界の縮図」としてグローバル・ポリティックスが展開する仮想空間が「英国カントリーハウス」から「上海のナイトクラブ」へと移設された『日の名残り』のアジア編としてとらえることで、これをヘリテージ映画として定義した。その一方で、小川公代(上智大学准教授)は、コウルリッジの詩的創作をあつかった『パンデモニアム』をとりあげ、伝記映画(バイオ・ピック)に見られるヘリテージ性を具体的に論じた。
第5回目(2月11日)は、松本朗(上智大学教授)が、ロマン・ポランスキー監督の『テス』のメロドラマ性に着目しつつ、ヘリテージ映画の複数の起源のひとつとして、1970年代のメロドラマというジャンルの重要性を指摘した。佐藤元状(慶應義塾大学教授)は、シェイクスピアの歴史劇から『ヘンリー五世』をとりあげ、第二次大戦中に製作された作品と1980年代に製作された作品との異同をとおして、後者のどこがヘリテージ映画的であるかを論じた。
第6回目(3月4日)は、岩崎雅之(早稲田大学非常勤講師)と秦邦生(青山学院大学准教授)がともにデイヴィッド・リーン監督の映画(それぞれ『インドへの道』と『オリヴァー・ツイスト』)をあつかい、ヘリテージ映画の特質とされる過去のイングランドの美化という観点から両作品を論じた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

さまざまな映画作品の具体的解釈をとおして、ヘリテージ映画を主題的にも映像技法的にも、また、監督論としても、アダプテーション研究としても、とにかく多角的に定義しつつあり、その定義にかんしてさまざまな異論が出ているこのジャンルについて、定義の見直しをふくめ根本的に議論ができているため。

今後の研究の推進方策

来年度は、研究分担者の丹治愛と小山太一が、英文学会関東支部大会でヘリテージ映画のシンポジウムを組織することにはじまり、これまでの公開研究会とは異なる場で、これまでの成果を発表していく機会をつくりたい。
また、ヘリテージ映画がどうして1980年代にあらわれたのか、サッチャリズムとの関連やヘリテージ文化・ヘリテージ産業との関連という歴史的コンテクストにも目をむけていきたい。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、35万ほどの予算を残しているが、研究協力者が連合王国・ロンドンへの外国出張(ブリティッシュ・フィルム・インスティテュートでの資料収集)を延期したためである。

次年度使用額の使用計画

研究協力者が連合王国・ロンドンへの外国出張(ブリティッシュ・フィルム・インスティテュートでの資料収集)を実施する予定でる。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] ウィリアム・モリス『ユートピアだより』 ナショナル・ヘリテージとしてのイングランドの田園2017

    • 著者名/発表者名
      丹治愛
    • 雑誌名

      『英文学研究 支部統合号』、日本英文学会

      巻: 第9号 ページ: 33-40

    • 査読あり
  • [雑誌論文] イメージの呪縛を解くために―美瑛における「観光のまなざし」の向こう側2017

    • 著者名/発表者名
      西川克之
    • 雑誌名

      CATS叢書11:観光創造学へのチャレンジ

      巻: 第11号 ページ: 20-28

  • [学会発表] Life-writings in the long eighteenth century: consuming private lives and the rise of a consumer society2017

    • 著者名/発表者名
      Kusamitsu, Toshio
    • 学会等名
      The third International Conference on the History of Consumer Culture
    • 発表場所
      学習院大学(東京都豊島区)
    • 年月日
      2017-03-23
  • [学会発表] 訪う者の迎え方-ニセコ地区における外国人旅行者への地域の対応二種2017

    • 著者名/発表者名
      西川克之
    • 学会等名
      北海道大学メディア・コミュニケーション研究院主催「観光地域マネジメント論講座」10周年記念シンポジウム
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2017-03-07
  • [学会発表] 歴史小説は如何に評価すべきか-Wolf HallとLincolnの場合2016

    • 著者名/発表者名
      佐々木徹
    • 学会等名
      京大英文学会年次大会
    • 発表場所
      京都大学(京都市)
    • 年月日
      2016-11-05
  • [学会発表] 『幕間』における田園主義的イングリッシュネス ナショナリズムと戦争2016

    • 著者名/発表者名
      丹治愛
    • 学会等名
      日本ヴァージニア・ウルフ協会第36回全国大会特別講演
    • 発表場所
      京都女子大学(京都市)
    • 年月日
      2016-10-29
    • 招待講演
  • [学会発表] 文学をどう教えるか2016

    • 著者名/発表者名
      新井潤美
    • 学会等名
      日本比較文学会第78回全国大会ワークショップ
    • 発表場所
      東京大学(東京都目黒区)
    • 年月日
      2016-06-18
  • [学会発表] イギリス文学における使用人のイメージ2016

    • 著者名/発表者名
      新井潤美
    • 学会等名
      京都女子大学文学部英文学科講演会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都市)
    • 年月日
      2016-05-30
    • 招待講演
  • [図書] 『英語のスタイル』2017

    • 著者名/発表者名
      佐々木徹(共著)、豊田正倫・堀正広・今林修(編)
    • 総ページ数
      302(178-90)
    • 出版者
      研究社
  • [図書] 魅惑のヴィクトリア朝 アリスとホームズの英国文化2016

    • 著者名/発表者名
      新井潤美
    • 総ページ数
      221
    • 出版者
      NHK出版
  • [図書] パブリック・スクールーーイギリス的紳士・淑女のつくられかた2016

    • 著者名/発表者名
      新井潤美
    • 総ページ数
      215
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] 歴史の工房ー英国で学んだこと2016

    • 著者名/発表者名
      草光俊雄
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      みすず書房
  • [図書] 『芸術におけるリライト』(アウリオン叢書16)2016

    • 著者名/発表者名
      小山太一(共著)、海老根龍介・辻川慶子(編)
    • 総ページ数
      213(177-90)
    • 出版者
      弘学社

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公開日: 2018-01-16  

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