本研究は、明治大正期研究で一次資料として対象外であった「雑誌」が「研究」としていかに可能かを、比較文学・比較芸術的観点から明らかにした。特に、1900~20年代に展開した「文学芸術総合雑誌」を徹底分析することで、この時期の雑誌文化が、同時代の出版統制史と深く絡み合っていること、文学芸術系の総合雑誌は同時代の思想系雑誌と深い連関にあること、明治大正期の雑誌はその同人たちや関連人物たちの思想的紐帯であり、雑誌を基盤に多くの活動が派生的に行われたことなど、新たな側面を拓く視点、方法論を獲得することができた。本研究の成果は6本の学術論文等で公表され、すべての成果を含んだ刊行本を近く上梓する予定である。
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