研究課題/領域番号 |
25284073
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
瀬戸口 律子 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (90054858)
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研究分担者 |
丁 鋒 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (20320418)
管 寧 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (70319143)
原瀬 隆司 大東文化大学, 外国語学部, 准教授 (30198907)
小塚 由博 大東文化大学, 文学部, 助教 (80571702)
上里 賢一 琉球大学, 法文学部, 名誉教授 (50101457)
赤嶺 守 琉球大学, 法文学部, 教授 (20212417)
金城 ひろみ 琉球大学, 法文学部, 准教授 (30548219)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 東アジア圏 / 言語文化 / 琉球 / 中国 |
研究概要 |
『琉球入学見聞録』と「琉球官話課本」の比較考証を行うため、清代中国の関連史資料収集と中国側専門研究者からのヒヤリングを重点に実施した。比較考証の基礎作業としては注釈付き全訳作業と内容分析が必要不可欠となる。そこで平成25年度は次のような研究実施計画を立てて取り組んだ。 (1)共同研究者打ち合わせ会議を2回実施-第1回 大東文化大学にて実施 出席者:瀬戸口、丁鋒、管寧、原瀬、小塚-琉球大学での打ち合わせの内容確認と『琉球入学見聞録』の翻訳分担について、担当範囲と分担者を決める。 第2回 琉球大学にて実施(7月26日~7月28日) 出席者:瀬戸口、管寧、原瀬、小塚(大東文化大学)、赤嶺、上里、金城(琉球大学)-琉球大学図書館で資料調査実施、大東文化大学側と琉球大学側との資料収集の方法について話し合う。『琉球入学見聞録』の翻訳作業の琉球大学側の分担を確認 (2)瀬戸口・管寧、沖縄県立博物館、琉球大学にて資料収集を実施(5月3日~5月7日)。瀬戸口、台湾にてシンポジウム出席、資料収集実施(11月27日~12月2日)。原瀬、上海・蘇州にて資料収集(8月29日~9月4日)。小塚、上海にて資料収集(8月23日~8月27日) (3)翻訳作業の役割分担について 大東文化大学側-①小塚由博:序文・凡例、②管寧:総目・凡例・採用書目、③丁鋒:巻一・封爵、④原瀬隆司:巻一・錫賚、⑤瀬戸口律子:巻一・星土 琉球大学側-⑥上里賢一:巻一・星槎、⑦赤嶺守:巻一・星槎、⑧金城ひろみ:巻一・謹度 それぞれの資料収集及び分担者の翻訳作業については当初の研究計画通りに進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
このことについては、下記の二点にまとめられる。 (1)清代中国の関連史料と琉球史料の収集について 瀬戸口他7名の研究分担者が各自関わっている中国のさまざまな地域や沖縄で史料の収集を行った。その結果、当初の計画通りに収集が進み、『琉球入学見聞録』の版本が予想外の地域で発見され収集することができた。また、中国における専門家からの聞き取り調査は、予定していた研究者が外国出張のため会えなかったり、分担者の出張期間変更または種々の事態等の発生により実現できなかったグループもあった。しかし、全体的に見て、第一年目に掲げた史料収集の目標はほぼ達成されたと思う。 (2)『琉球入学見聞録』の翻訳作業について 翻訳作業の分担については、打ち合わせを2回開いた。(大東文化大学側1回、大東文化大学と琉球大学の合同会議1回)さらに各担当者の専門分野も考慮した上で、分担範囲を決定したこともあって、比較的順調に計画通りに進行している。しかし翻訳作業の際には、他の関連史料と照合したり比較検討することが不可欠である。分担者だけでは解決できない問題に遭遇することもある。そこで各分担者は不明な箇所、疑問点、出典の確認ができなかった点について、各自で整理し、合同研究会への課題とした。 大東側では各人の申し出により話し合いの場を設定しまとめていくことにした。琉球史料の関連では、琉球大学の分担者との意見交換会の必要性を痛感している。そこで今年度末には琉球大学で構成メンバー全員参加による検討会を開いて、これまでの翻訳作業で埋めることのできなかった箇所について十分検討を加えたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も前年度に引き続き『琉球入学見聞録』の翻訳作業に力を注ぎ、その完成を目指す。翻訳終了後は「琉球官話課本」の内容との比較検討を詳細に行い、この両書の比較に着手したい。比較作業は瀬戸口、丁鋒が中心になるが、全体的な検討については、琉球大学において構成メンバー全員による検討会を実施する。 『琉球入学見聞録』の翻訳は沖縄では以前からその翻訳書への待望があった。ところがその翻訳に取り組む研究者がいなかった。本研究により全翻訳が完了した後に、沖縄の研究者との意見交流会を開くことも大いに意義があると思われる。 また、来年の秋季には、大東文化大学で公開シンポジウムを開催し、国内外の研究者に対してこれまでの研究成果を発表したい。発表者は瀬戸口他7名の研究分担者と、共同研究者の黄易青北京師範大学教授、李イ中山大学教授、翻訳作業及び資料収集にも加わってもらった管寧教授(今年3月大東を定年、4月末帰国)等を中国から招聘する。 公開シンポジウムの報告と本研究の課題である「琉球・中国言語文化交流史の研究―『琉球官話課本』と『琉球入学見聞録』の比較考証―」とを結合させて、報告書を作成公刊することを念頭に研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は本研究の中間を迎える年度となる。そこで、次の二点を実施したいと考えている。 (1)現地調査の協力者である北京師範大学黄易青教授、広州中山大学李イ教授等中国から数名の研究者をお招きし、琉球官話関連のテーマで学術シンポジウムを開催する。当日の研究発表は報告書としてまとめる。 (2)現在7名の担当者が取り組んでいる『琉球入学見聞録』の翻訳チェック作業を行う。 上記(1)、(2)の計画を実施・実現させるには招聘研究者の渡航費や滞在費等が必要となる。また、学術シンポジウムに関わる諸経費及び最終報告書の作成にあたって研究分担者の外、入力作業を手伝ってもらう学生アルバイトを二、三人採用し、完成を目指すことが重要である。
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