研究課題/領域番号 |
25284074
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野町 素己 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (50513256)
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研究分担者 |
三谷 惠子 東京大学, 人文社会系研究科(文学部), 教授 (10229726)
長與 進 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40172564)
橋本 聡 北海道大学, メディア・コミュニケーション学術院, 教授 (40198677)
山本 真司 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (50251559)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 言語学 / マイノリティ / 社会言語学 / スラヴ語学 / 言語政策 / 言語復興 / 言語景観 |
研究実績の概要 |
本年度は、平成28年2月に東京で行われた国際シンポジウム「ヨーロッパおよび世界の視点によるスラヴ人マイノリティとその文章語の諸問題:現状と挑戦」および「東スロヴァキア文章語:封じられた過去か将来への可能性か」での議論や問題点を踏まえ、各研究分担者が担当言語の調査および分析を行った。 三谷は「ミクロ言語」という概念が、近代以前すなわち、近代国家とその国家言語成立より前の時代において、諸地域に存在した少数言語変種に対して適応可能なのかという問題を検討した。長與は東部スロヴァキアのコシツェ市とプレショウ市に出張して、国立学術図書館(コシツェ)、郷土博物館(プレショウ)、国立学術図書館(プレショウ)で資料収集を行った。橋本はチェコにてシレジア方言に関する資料収集を行った。山本はスラヴ系のいくつかの諸言語をも含む複数の言語が共存する、イタリア北東部の言語状況について、特に少数言語および公的なステイタスを十分に認められていない諸言語に注意を払いつつ、引き続き基礎的な研究・調査を継続した。野町はバナト地方(セルビア・ルーマニア)にてバナト・ブルガリア語の使用状況の調査を行い、ヤシャ・トミッチ、イヴァノヴォ、ベロ・ブラト、コナク、スタリ・レツで墓碑銘とその言語使用について調査を行った。また、コソヴォのゴーラ人が刊行する文学作品を収集し、その執筆者にインタビューを行い、文章語が形成される過程にあるかどうかの分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
個々がスラヴ・ミクロ文章語の社会言語学的研究を進めるなかで、学際的研究への発展が見られた。長與の東スロヴァキア語研究は、政治学、歴史学、言語学の成果を総合した研究に展開した。その他、言語使用状況を調査する文脈において、当初予定していなかったセルビア学士院附属バルカン学研究所との共同研究が行われ、言語景観論への貢献も実現するなど当初の研究計画以上に発展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、平成28年2月に行われた国際シンポジウムの研究報告集を刊行するための編集作業を行う。また、昨年度までに集めた資料を基に各自研究論文を執筆する。加えて、平成28年8月に札幌にて研究総括の国際シンポジウムを行う予定であり、シンポジウム後は研究報告集の準備に取り掛かる。
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次年度使用額が生じた理由 |
・残額37,697円は、平成28年3月に研究協力者が実施した業務に対する謝金であるが、これが4月支払いになる為生じたものである。 ・残額443,543円は、9th World Congress of International Council for Central and East European Studies (ICCEES)に海外研究協力者を招へいするための旅費を節約することができた為生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
・残額37,697円は、平成28年3月に研究協力者が実施した業務に対する謝金の4月支払に充てる。 ・残額443,543円は、平成28年8月に札幌で開催する研究総括の国際シンポジウムへの招へい旅費として使用する。
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