研究課題/領域番号 |
25284094
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
磯村 一弘 政策研究大学院大学, 政策研究科, 客員准教授 (00401729)
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研究分担者 |
林 良子 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (20347785)
金村 久美 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 講師 (20424955)
松田 真希子 金沢大学, 留学生センター, 准教授 (10361932)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音声教育 / 韻律 / 日本語教育 / 発音 / 学習ストラテジー |
研究概要 |
本研究は海外で学ぶ日本語学習者の韻律教育の普及と実践に関わる調査研究を行い、効果的な音声指導法を提案するものであり、大きく三つの事業、1.世界各国の日本語学習者の読み上げ音声データ収集と分析、2.世界各国の音声教育に関する実態調査、3.効果的な韻律指導法の提案と効果の検証、を進めている。 H25年度は、1.についてはスワヒリ語、ドイツ語、イタリア語、中国語話者の日本語読み上げデータを収集し、韻律上の問題点について分析を行った。その結果、アクセントに関する韻律上の不自然さがどの母語話者にも共通してみられること、それらの不自然さはモデルアクセントの提示や初級段階からの指導により改善される可能性があることを明らかにした。また、日本語とベトナム語の発音における喉頭調整についてファイバースコープを用いて検証する研究を行い、ベトナム語の喉頭の緊張が学習者の発音に影響を及ぼしている可能性を示唆した。 2.については海外の教師を対象に、音声教育に関するアンケート調査を開始した。アンケートは英語、中国語、韓国語、インドネシア語、ベトナム語の5言語に翻訳した。現在世界20カ国以上、200名以上の日本語教師から回答を得た。特に多くの回答が得られたアメリカと中国の結果を比較分析した結果、中国の日本語教師がアメリカの日本語教師より有意に高頻度に発音訂正フィードバックを実施していること、その背景には中国で教える日本語教師の正確さに対する教師ビリーフの影響が見られることを明らかにした。また、中国人日本語学習者については読み上げ調査の成績と学習ストラテジー使用の関係について分析し、中国の場合は学習ストラテジーの活性化による自律学習より教室での音声指導がより発音習得に効果的であることも明らかにした。 3.についてはアニメ、マンガを題材として日本語教育を行うことによる韻律指導の効果について実践報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
特に1.および2.について、計画以上に進展している。読み上げ音声収集と分析については既に4カ国で収集が行われ、それらの分析結果は最終年度に公開するのではなく、随時公開されている。また2.については海外研究協力者(プリンストン大学柴田智子氏等)の協力を得られたことから予想以上に回答を収集することができた。そしてこれらの調査結果についても、最終年度に公開するのではなく、まとまった回答が得られた国に関して随時成果報告を行っている。また、1年目ではあるが、シンポジウム(外国語発音習得研究会)を開催し、研究成果の中間報告を行うと共にアニメ・マンガを用いた音声教育の実践報告を行い、音声教育普及を促進した。 また早期に本プロジェクトに関するWEBページを構築し、研究内容の発信を行っていることも、計画以上の進展といえる。
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今後の研究の推進方策 |
1.については引き続き広く音声データ収集を行う。H26年度はベトナム、タイ、インドネシア、韓国、アメリカ、ヨーロッパ諸国で同様の調査を行い、発音習得上の問題点を分析する予定である。また、3.との関連で、提案手法を導入した日本語教育機関を数機関選定し、日本語音声を縦断的に収集する予定である。 2.についても引き続き音声教育アンケートを実施し、各国の音声教育事情や問題点について分析を行う。 3.については効果的な韻律指導法についての提案をまとめる予定である
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次年度の研究費の使用計画 |
H26年度以降に実施予定の海外調査について、内容の充実を図るため、翻訳者金など当初計画よりも支出が少なかったものを繰り越した。 次年度以降の海外調査および成果発表のための旅費、その他の予算に充てる。
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