研究課題/領域番号 |
25284099
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
卯城 祐司 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60271722)
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研究分担者 |
星野 由子 東京富士大学, 経営学部, 准教授 (80548735)
清水 遥 東北福祉大学, 総合基礎教育課程, 講師 (20646905)
高木 修一 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (20707773)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 英語教育 / リーディング / 眼球運動測定 / 状況モデル / 読解指導 / 心的表象の更新 |
研究実績の概要 |
本基盤研究は日本人学習者の英文読解における,一貫した状況モデルの維持に伴う困難性に注目し,その困難性を学習者が自ら解決していくプロセスを明らかにすることを目的としている。昨年度は状況モデルの構築中に局所的一貫性の破綻を検知するプロセスを明らかにした。そこで本年度は,日本人英語学習者が大局的一貫性の破綻を検知できるかについて検証した。
日本人大学生32名が実験に参加し,大局的に一貫しない内容を含むテキスト (物語の登場人物に関する説明と [精緻化領域: e.g., Maryはベジタリアン],登場人物の行為 [目標領域: e.g., Maryはチーズバーガーを注文] が矛盾) を読解させ,読解中の眼球運動をEMR9 (NAC Inc., Tokyo Japan) により計測した。また,昨年度実施した実験と同じく局所的に一貫しないテキスト条件も要因計画に含めることで,局所的・大局的一貫性における破綻検知プロセスの差異も分析対象とした。
目標領域の初読時間・再読時間,および精緻化領域への読み戻りに反映される「状況モデルの破綻の検知が行われていたか否か」を統計的に解析した。その結果,テキストに含まれる局所的一貫性の破綻は精緻化領域への読み戻りを引き起こしていた。これは昨年度の実験結果を再現しており,日本人英語学習者は読解中に状況モデルの局所的一貫性が破綻すると,それを検知できることを示唆している。しかしながら,大局的一貫性の破綻は学習者によって検知されにくく,日本人英語学習者は英語文章全体の一貫性を維持しながら内容を理解することを苦手とすることが示された。以上の結果は,文章全体として何が書かれていたかを読み取らせるような特別な読解指導の必要性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りの進捗が見られ,研究成果は学会発表や査読論文において一定の評価を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は3年目の研究計画および発展的課題に着手する。得られた成果については学会や論文投稿という形で発表し,外部機関による客観的な評価を確認しながら計画を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年8月から眼球運動測定器具を使用した実験を行う予定だったが,耐震工事による想定以上の騒音が発生したため実験実施・進捗が遅延し,実験実施に伴う謝金の支払いおよび物品の購入が予想より少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験を進めるための物品を購入し,また実験実施に伴う謝金として使用する。
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