研究課題/領域番号 |
25284105
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
大谷 みどり 島根大学, 教育学部, 准教授 (80533299)
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研究分担者 |
飯島 睦美 松江工業高等専門学校, 人文科学部, 教授 (80280436)
築道 和明 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30188510)
小川 巌 島根大学, 教育学部, 教授 (60160743)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 英語教育 / 特別支援 / ユニバーサルデザイン / インクルーシブ教育 / 認知特性 |
研究概要 |
本研究は特別支援教育のコンセプトである「インクルーシブ教育」と「ユニバーサルデザイン授業」を核とし『英語という教科の特性を活かし、通常学級における様々な生徒のニーズに合った支援の方法を探り、個々の能力を最大限に伸ばす英語教育の在り方』の体系化を目的としている。 【研究会の実施】 本プロジェクト1年目である当該年度においては当初の計画通り複数回(4回)の勉強会を実施した。本プロジェクト構成員の実践発表をもとに、本テーマに関心のある小中高大の教員の参加者の間で、活発な意見交換が行われた。また、生徒への支援にICT機器が有効であることから、ICT機器の活用についての研修会も行った。 【アンケート調査の実施】 本プロジェクト一年目に計画していた「通常学級における特別支援教育に関する実態調査」も実施した。本調査の目的は、①初等中等教育機関の通常学級において学習障害や発達障害を抱える学習者を含むすべての学習者が、英語学習において感じる「困り感」を把握する事と②外国語活動・英語教育指導者が抱える指導上の悩みや問題点をまとめる、の2点である。質問項目について小学校教員には「支援を必要とする児童の有無」を尋ねると共に、記述式で外国語活動の時間において教員が感じる「子どもの困り感やつまずき」と外国語活動における子どもへの支援・必要と感じること等」について尋ねた。中高の教員には4件法で、聞く・読む・書く等の項目に分けて作成した英語学習におけるつまずき16項目について尋ねると共に、学校生活全般の困り感についても尋ねた。本調査の対象は島根・鳥取の教員で、小学校は外国語活動に関わる5/6年生の担任、中高は英語科の教員宛に、両県全ての小中高等学校にアンケート調査を返信用封筒と共に郵送した。返信のあった回答については、現在分析を進めており、学会発表等で今後広く公表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していたことは、上記の通り「研究会の開催」「通常学級における特別支援教育に関する実態調査」の2点とも実施した。 勉強会については当初、隔月と計画していたが、現場の教員の多忙さから、約3ヶ月毎の実施となった。しかしながら全ての会において、非常に充実した発表と意見交換が行われ、参加者の間から、是非勉強会を続けたいという声が多く聞かれた。 「通常学級における特別支援教育に関する実態調査」については、これまでには殆どなかった調査であり、項目の作成からアンケート用紙の印刷・封詰め・郵送準備等、かなりの時間を要したが、返信率も高く、回答して下さった教員の皆様に心から感謝申し上げると共に、今後の分析と、より広い公表の仕方を次年度以降の課題と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の本年度は、前述の貴重な実態調査を詳しく分析し、学会での発表をはじめ、より広く公表できる機会を検討していく。 また本年度は、本分野における先進国の視察を計画しており、プロジェクト構成員で、アメリカを初めとして、英語教育における支援の在り方について学校視察・専門家へのインタビュー等を行う予定である。さらに、視察中にも構成員間で、視察内容をもとに日本の教育現場で活かせる方策を話し合い、本研究のゴールのひとつである、具体的な活動事例集作成に向けての情報・原稿の蓄積も開始する。 同時に、日本国内で特別支援の視点の重要性が高まっており、英語教育における特別支援の在り方についても関心が高まりつつあるので、国内外の調査・論文のさらなる収集を行い、本プロジェクトを一層充実させていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り、本年度はプロジェクト構成員による海外視察を予定している。英語教育における特別支援の分野で先進国であるアメリカやイギリス等の学校を視察し、また専門家にインタビューを行う事で、今後、日本の英語教育においての支援の在り方を、より具体的に考えていきたい。また、昨年度収集した貴重なアンケート調査の分析結果を、国内外の学会で積極的に発表していくためにも、本年度はまとまった旅費が必要となる。 また昨年度、購入できなかった認知検査キット・分析ソフトの購入も必要であると共に、継続している研究会への講師謝金等も必要である。 海外視察については、(1)2014年4月27日~5月2日:米国カリフォルニア州立大学サクラメント校 教育学部 特別支援科への訪問・授業見学、サクラメント周辺の公立小学校・中学校・高校の授業見学と授業協議 (2)10月初旬 :識字障碍の支援について定評のあるLandmark School(ボストン)とボストンの公立学校の授業見学と教員との意見交換を計画している(約325万円)。また昨年度実施した詳細なアンケート調査の公表を複数の学会で行うために、国内外の学会参加の為の出張旅費(約25万円)を計上している。 また昨年度購入できなった認知検査キット・分析ソフトの購入も計画している(約45万円)。さらに継続している研究会への講師謝金(10万円)の支払いを予定している。加えて、昨年度購入し、現場の教員と使用方法を検討しているICT機器、特にiPadを更に増やし、子どもへの個別の対応に役立てたい(約14万円)。
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