研究課題/領域番号 |
25284115
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 楽章 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (10332850)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 東アジア海域 / 海上貿易 / 人的移動 / ポルトガル / スペイン / 中国 / 九州 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
【研究の具体的内容】本研究課題では、16-17世紀の東アジア海域における交易秩序の変動と人の移動を、漢文・和文・欧文の一字史料を活用して、多角的に検討することを目的とする。本年度はこの研究課題のために、主として次のような研究活動を実行した。 ①欧州における史料・文献調査:2014年8月、ポルトガルのリスボン国立図書館・アジュダ図書館において、16世紀のポルトガル人のアジア間貿易、東アジア情報の収集と地理認識に関して、史料および研究文献を調査・収集した。またフランスのパリ国立図書館においても、16世紀ポルトガル人による海域アジア地理認識に関する史料・文献を調査した。 ②海外における現地調査:2014年9月、スペイン・バスク地域において、16世紀におけるイベリア・東アジア交流に関する史跡・史料調査を実施した。また連携研究者の桃木至郎は、2014年12月~2015年1月、ベトナム・中国国境地帯において、近世の東・東南アジア間の貿易ルートの史跡・史料調査を実施した。 ③海外における学術報告:2014年7月、「大航海時代的台湾与東亜」国際学術研討会(台北・中央研究院)において、報告「南蛮人与荒唐船」をおこない、学術交流も進めた。 【研究活動の意義と重要性】欧州における史料調査においては、研究課題に関するポルトガル語・スペイン語・フランス語の史料および研究文献を調査し、特に16世紀中期のポルトガル人によるアジア間貿易、東アジア地図の作成について重要な知見が得られた。またスペイン調査においては、16世紀の東アジア海域でも重要な役割をはたした宣教師や航海者に関わる情報を確認し、多角的な海域アジア史研究を推進する上で重要な成果があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題においては、漢文・和文・欧文史料・研究文献を広範に調査・収集し、かつ現地調査や国際学会報告、海外の研究者との学術交流などを通じて、研究課題の多角的・総合的検討を進めることを計画していた。本年度は、これらの計画について、いずれも十分に実施し、特に欧州での史料・文献調査については、ポルトガルの他フランスでも史料調査を実施し、日本国内では閲覧が困難な、一次史料や研究文献を多数調査し、16世紀中期におけるポルトガル人の東アジア地理認識の発達や、胡椒をはじめとするアジア間貿易の実態について、計画以上に多くの史料・文献を収集し、それを漢文・和文史料とともに総合的に検討することによって、西欧人の東アジア進出を巡る全体状況を、従来の研究にはない広範な視野で再検討する展望を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題においては、今後二年間の研究機関において、これまでの二年間に引き続き、漢文・和文・欧文の一次史料の調査・収集・分析を進め、かつ現地調査もおこなって、16世紀を中心とした東アジア海域の交易秩序の形成と人的移動を、特にポルトガル人の東アジア海域進出と、華人・日本人の海上貿易活動との連携を中心に、検討を進める。 そのために、今後2年間も、国内および中国・台湾における史料・文献調査や現地調査を継続するとともに、ポルトガルを中心とした欧州における史料・文献調査や現地調査も、さらに推進する予定である。 かつ海外における研究成果の学術報告、海外の研究者との学術交流や討論などを通じて、国際的な視野から東アジア海域史を包括的に検討する方法論も構築していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
各種の消耗品について、今年度予算によって支出する予定であったが、前年度予算による購入分がなお残っており、購入の必要がなかった。このため若干額を、次年度使用分として繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度への繰越金、16,250円については、「その他」の支出に宛て、各種文具・PC関係消耗品などの支出をおこなう予定である。
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