研究課題/領域番号 |
25284129
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研究機関 | 高岡法科大学 |
研究代表者 |
本多 俊彦 高岡法科大学, 法学部, 准教授 (80410281)
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研究分担者 |
末柄 豊 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (70251478)
高島 晶彦 東京大学, 史料編纂所, 技術専門職員 (10422437)
橋本 雄 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (50416559)
小島 浩之 東京大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (70334224)
天野 真志 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (60583317)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日本史 / 近世古文書学 / 文書料紙 / 形態 / 東アジア / 紙質 / 系譜論 / 中世古文書学 |
研究実績の概要 |
本研究は、近世文書原本の料紙について、物理的な計測及び繊維の顕微鏡観察によってその紙種の紙質を究明し、中世文書のそれからの系譜を具体的に検証し、中国大陸・朝鮮半島の文書からの影響をも確認することによって、近世文書料紙の特徴を実証的に明らかにするとともに、近世史料学の中に料紙論を本格的に位置づけようとするものである。このため、本研究では①近世文書の原本調査、②古文書料紙復元実験、③近世文書料紙に関する文献調査と中世文書料紙研究の成果との比較研究、④東アジア製紙技術や中近世中国・朝鮮の古文書料紙からの影響の検討などを進めている。 平成26年度は、①として山内家文書(土佐山内家宝物資料館)や池田家文書(林原美術館・岡山大学)などの原本調査を行った。また、②として、高知県紙産業技術センターにて中高檀紙や細皺付奉書紙の紙漉き・皺付け・乾燥方法などを実験した。さらに、③のために研究図書などを購入するとともに、柳井家文書(岡山県立博物館)にて未使用料紙の確認調査などを行った。④については、初年度(平成25年度)に行った九州での文書調査を踏まえてその分析と関係資料の収集に努めるとともに、関東及び関西地区の中国文書について予備調査を個別に実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で進めている①近世文書の原本調査、②古文書料紙復元実験、③近世文書料紙に関する文献調査と中世文書料紙研究の成果との比較研究、④東アジア製紙技術や中近世中国・朝鮮の古文書料紙からの影響の検討などが、当初計画通りに進んでいるため。特に、平成26年度に初めて実施した古文書料紙復元実験では、高知県紙産業技術センターにて中高檀紙や細皺付奉書紙の紙漉き・皺付け・乾燥方法などを実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、古文書原本の物理的な計測及び繊維の顕微鏡観察による紙種の紙質究明のための近世文書料紙調査を広範囲に実施し、データのさらなる蓄積を図っていく。このため、上杉家文書(米沢市上杉博物館)や萩原子爵家文書(東京大学史料編纂所寄託)などの原本調査を行う予定である。また、昨年度に引き続き、文書料紙の材料や製法を確認するために高知県紙産業技術センターにて紙漉き実験を行うことを計画している。さらに、前近代の未使用料紙調査などや、昨年度の予備調査を踏まえた明代以前の国内所蔵文書調査などを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は一昨年度(平成25年度)の文書料紙調査用の国内旅費の一部(学術研究助成基金助成金)の繰越分もあったため、ほぼ計画通りに調査や実験が進んだものの、国内旅費の一部(学術研究助成基金助成金)に繰越金が発生してしまうこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は古文書原本の物理的な計測及び繊維の顕微鏡観察による紙種の紙質究明のための近世文書料紙調査として、上杉家文書(米沢市上杉博物館)や萩原子爵家文書(東京大学史料編纂所寄託)など広範囲な原本調査を行い、データの蓄積を図っていく予定である。また、古文書料紙復元実験としては平成26年度同様、高知県紙産業技術センターにて紙漉き実験を行い、文書料紙の製法などを確認する計画である。さらに、前近代の未使用料紙調査や明代以前の国内所蔵文書調査などを計画している。
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