研究課題/領域番号 |
25284130
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
白井 克也 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (70300689)
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研究分担者 |
土屋 裕子 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (60321551)
田良島 哲 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 課長 (60370996)
遠藤 楽子 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 研究員 (60415619)
伊藤 嘉章 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 部長 (80213099)
鬼頭 智美 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 室長 (80321553)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日本史 / 西洋史 / 美術史 / 博物館学 / 交流史 |
研究実績の概要 |
本研究は、幕末期における西欧の博物館との接触から、維新後における博物館の創設を経て、帝室博物館の成立に至る明治期を中心とした博物館史を、世界史的な視野で再構成するための基礎的な資料調査と研究を、特に所蔵品の流通に着目して行おうとするものである。 平成26年度は、この年度の研究対象であるオーストラリアに関連して、特にオーストラリア博物館(シドニー)、西オーストラリア美術館(パース)、メルボルン博物館、ヴィクトリア国立美術館、王立植物園(以上メルボルン)に関して、近代における文化財の交換を中心とした博物館交流を、文書資料と実際の作品の両面から調査した。また、近代における交換の後に文化財が国内移動している例が少なくないため、その一例として国立科学博物館の筑波研究施設を訪問し、文化財の現況やそれまでの経緯について調査した。これらに関連して、国内外の関連博物館・美術館の研究者に聞き取り調査を行い、今後の研究のための協力関係を構築した。 東京国立博物館が所蔵する文書類である館史資料のうち、『重要雑録』『動物録』を高精細なカラー画像でデジタル撮影した。平成25年度に撮影した『列品録』に関しては内容の目録を完成させるとともに、一部の文書については釈読を進めた。これにより、東京国立博物館とオーストラリアとの文化財交換などの初期の交流の経緯について解明した。 このほか、研究代表者・研究分担者らによる勉強会を定期的に開催し、東京国立博物館が所蔵するオーストラリア関連文化財を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に予定していた調査・撮影を滞りなく終えるとともに、明治初年の日本とオーストラリアの博物館交流において従来見落とされてきた1875年のメルボルン植民地間博覧会が重要な役割を果たしたことを認識するなど、今後の研究の進展にとって有意義な知見を得た。また、国立科学博物館との協力体制を構築したことにより、東京国立博物館における所蔵品の取扱いの歴史をより多面的に検討できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、英国を対象とし、特にスコットランドのグラスゴー博物館(グラスゴー)とスコットランド国立博物館(エディンバラ)に関して、明治時代における東京国立博物館をはじめとした日本との文化財交流について調査をする予定である。これと並行して、博物館の国際交流にかかわる所蔵品の調査を継続し、東京国立博物館から外部に移管した文化財に関しても追跡を継続する。 さらに、館史資料の撮影・釈読も継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
館史資料のデータ作成や釈読に関して人件費を計上していたが、想定していたよりも少ない雇用人数によって精度の高いリスト作成や釈読が可能になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度において、釈読等に関する専門的な人員を新たに雇用する。 また、平成25年度、平成26年度の補足調査も含め、本研究において重要な現地調査に、計画的に資金を投入する。
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