研究課題/領域番号 |
25284137
|
研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
堀川 徹 京都外国語大学, 国際言語平和研究所, 教授 (60108967)
|
研究分担者 |
木村 暁 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 研究員 (00625113)
塩谷 哲史 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 助教 (30570197)
磯貝 健一 追手門学院大学, 国際教養学部, 教授 (40351259)
矢島 洋一 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (60410990)
宮下 修一 静岡大学, 法務研究科, 教授 (80377712)
磯貝 真澄 京都外国語大学, 国際言語文化研究所, 嘱託研究員 (90582502)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 近代 / 中央ユーラシア / イスラーム法廷文書 / ロシア帝国 / 比較法制度史 / 比較法社会史 / 国際研究者交流 / ウズベキスタン共和国 |
研究実績の概要 |
本研究では、二項目を研究目的として設定している。 第一は、ロシア帝国とソ連邦による「帝国」統治が、中央ユーラシア・イスラーム地域の法制度と法的社会状況にいかなる変容をもたらしたかを、現地語資料の歴史文献学的分析により実証的に解明することである。これを達成するために、平成27年度には、8月16~26日に、研究代表者と研究分担者3名をウズベキスタン共和国タシュケント市とヒヴァ市に派遣し、文書館、博物館、図書館等でイスラーム法廷文書とその他諸資料の調査を行うと同時に、海外研究協力者であるウズベキスタンの研究者2名とともに収集済み文書の解読作業、および今後の文書収集・調査の方策に関する協議を行った。文書の解読作業は、この出張後にも引き続き分担して行っている。また、イスラーム法廷文書の解読能力を備えた若手研究者を育成するために、「中央アジア古文書研究セミナー」(通算第14回)を平成28年3月13日に開催した。 本研究第二の目的は、ロシア帝国とソ連邦による中央ユーラシア統治の法制度・法社会史的事例を他の中央ユーラシア地域等の同種事例と対比分析することで、「帝国」統治の諸事例の特徴を明らかにすることである。この目的を達成するために、研究代表者・研究分担者・連携研究者・研究協力者は、各自の研究テーマに沿った研究を継続的に実施する一方で、平成27年6月20日と11月14日に「近代中央ユーラシア比較法制度史研究会」(通算第5回、第6回)を開催して、研究成果の公表と共有を行った。具体的には、6月20日の例会では大清帝国における越訴と、帝政期中央アジアのシャリーア法廷における文書業務をテーマとし、11月14日の例会ではヒヴァ・ハン国における法廷外の請願手続き、また、商人の倫理的規範を記すリサーラと呼ばれる書物、および、ブハラ・ハン国による対イラン聖戦の法的根拠をテーマとして、それぞれ研究発表と比較研究のための討論が行われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一の目的に関しては、ウズベキスタン共和国において長年にわたって培ってきた信頼・協力関係が良好に機能して、彼国における調査研究が支障なく行われているからである。とくに同国の研究協力者3名との専門知識の共有と協働は、本研究の進展に確実に裨益している。また、14回目となる「中央アジア古文書研究セミナー」には30名以上の研究者・大学院生・学部生が参加したが、これは研究者の裾野を広げ、後継者を育成しようとする本研究の目的が、着実に実を結んできている証左と考えられる。 第二の目的に関しては、年2回の研究会において個別テーマのもとで研究発表が順次予定通りに行われ、専門性と発展性にあふれる議論が展開されており、プロジェクトに参加しているメンバーが着実に研究を進展させている状況が看取できるからである。わけても11月14日の例会が、上記3名のウズベキスタン人研究協力者を発表者に迎えて開催され、本研究のメンバーを中心に26名の参加者を得つつ、有益な学術的知見の披露と活発かつ建設的な意見・情報交換の場となったことは、当該研究会の取り組みの意義と有効性を示す一例といえる。
|
今後の研究の推進方策 |
上述したように、本研究はおおむね順調に実施されており、当初の予定通り研究課題を遂行していく。平成28年度は最終年度にあたることから、これまで蓄積してきた個別的成果の総合作業として、将来的な商業出版も見据えながら、本研究メンバーを執筆者とする成果論集を編纂・発行する。とくに「近代中央ユーラシア比較法制度史研究会」については、論集編纂の効果的な準備機会となるように、これをしかるべく組織・開催する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年2回の「近代中央ユーラシア比較法制度史研究会」、ならびに「中央アジア古文書研究セミナー」は、イスラーム地域研究東洋文庫拠点との共催で開催されたが、研究会・セミナー参加者の旅費の一部が同拠点により負担されたこと、遠方からの参加者の一部が旅費を自己負担したこと等により、事前に想定した研究会開催経費の一部が未使用となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は最終年度であり、上述のように研究会開催には従来にもまして力を入れることから、より多くの参加者および経費が見込まれる。したがって、次年度使用額については、研究会開催経費を一つの柱としながら予算措置をとることで、これを使用していく予定である。なお、これまで研究会の共催機関となってきたイスラーム地域研究東洋文庫拠点は、平成27年度をもってその正式な活動期間を終了している。
|