研究課題/領域番号 |
25284138
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
蒲 豊彦 京都橘大学, 文学部, 教授 (30233919)
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研究分担者 |
石川 照子 大妻女子大学, 比較文化学部, 教授 (50316907)
倉田 明子 東京大学, 総合文化研究科, 研究員 (20636211)
佐藤 仁史 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (60335156)
戸部 健 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (20515407)
山本 真 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (20316681)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中国近代史 / 地域史 / キリスト教史 |
研究概要 |
本研究は、キリスト教信者コミュニティーの動向およびその周辺事象を分析の基軸に据えることによって、それぞれに大きく異なる歴史的背景と地域的特性をもつ中国沿海の諸地区を、共通の基準から比較しつつ統一的かつ総合的に理解しようとするものである。本年度の主要な目標は先行研究の収集と整理および、現地での基礎的調査であった。分担者と協力者あわせて8名の体制で、おおよその担当分担地域を決めているが、研究メンバー全体で歩調を合わせて研究を進める部分と、各自の自主的研究に任せる部分に、大きく分かれている。 前者にかんする今年度のもっとも重要な業績は、メンバー全員で分担して専門誌『歴史評論』の特集「キリスト教と近代中国地域社会史」(2014年1月)を執筆したことである。これによって、各地域におけるキリスト教史研究の最新の動向を整理するとともに、それを広く学界にも知らせることができたと思われる。このほか、定期的に研究会を開いてTimothy Richard, Forty-Five Years in China (1916) の輪読を進めている。本書の日本語訳に向けて注釈も準備しつつあり、輪読は2014年末までに完了する予定である。この翻訳が完成すれば、キリスト教布教をめぐる当時の具体的様相がさらに明らかになるのみならず、飢饉をはじめとする各種の事件、中国の高官の動向などについても、一定の歴史史料を提供するものとなるだろう。このほかに、キリスト教史研究についての『研究案内(文献解題)』を作製する作業も進んでいる。 各メンバーが自主的におこなう研究にかんしては、調査予定の全4地区の史料館、図書館等、また欧米ではアメリカ・テネシー州の南部バプテスト歴史資料館で、それぞれ資料調査を行い、論文等を発表し、また学術報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は、先行研究の収集、整理を基本としており、『歴史評論』特集「キリスト教と近代中国地域社会史」(2014年1月)を本研究メンバーで分担執筆したことにより、本研究のもっとも基礎的な部分について、研究の枠組みをひとまず設定することができた。研究論文の収集は今後も継続するが、『歴史評論』特集執筆により、基本的な目的はおおむね達成できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」でも述べたように、本研究は、メンバー全体が緊密に協力しておこなう部分と、各自で研究を進める部分とに分かれている。 このうちとくに重要なものは前者であるが、今後も年に5回程度の定期研究会を開き、また通常の連絡および情報交換はメーリングリストによって行いながら、具体的な目標としてはつぎの3点の書籍を作製する方向で、検討に入っている。まず『研究案内(文献解題)』と『Timothy Richard, Forty-Five Years in China (1916)の訳本』、そして、キリスト教史研究の観点から近代中国の各地域を通覧する入門書である。ただし、この3つの作業を同時に進めるのではなく、2014年度はForty-Five Years in Chinaの翻訳準備に重点を置きつつ、他の作業も若干は同時並行的に進め、次年度以降は、重点を順次移しかえていく。 このうち第3番目の「入門書」を作製するためには、本研究がもともと意図していた「中国の沿海地域」の研究だけでは、やはり不十分となる。そこで、内陸部や東北部も付け加えるために、当該方面の研究者に協力を要請する予定である。 各メンバーが主体的におこなう研究については、初年度の調査を継続しつつ、今後は海外での文献調査、その整理および論文執筆に順次入る予定である。その成果は、学術論文や学会での研究報告等でそれぞれ発表することになる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本来、本年度(2013年)はおもに中国での調査を、そして次年度(2014年度)は欧米での資料調査を計画していたが、助成事業交付決定額が申請額より圧縮され、より費用のかさむ欧米での調査に支障をきたす可能性がでてきた。そこで、次年度に備えて本年度の中国調査の支出を若干圧縮した。 次年度は、中国内での資料調査およびフィールドワークを継続しつつ、アメリカのミネソタ大学、スミスカレッジ、ドルー大学、イェール大学、イギリスのロンドン大学などで調査を行う予定である。
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