研究課題/領域番号 |
25284141
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研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
三浦 徹 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (00199952)
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研究分担者 |
守川 知子 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (00431297)
永田 雄三 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (20014508)
林 佳世子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (30208615)
磯貝 健一 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (40351259)
大河原 知樹 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (60374980)
近藤 信彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (90274993)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | イスラーム / 寄進 / 都市 / ワクフ / 慈善 / 比較史 |
研究実績の概要 |
1.国際研究集会 1.1 CNRS国際ワクフ研究(エクサンプロヴァンス大学)とマスカラ大学(アルジェリア)の共催による国際研究集会"Waqf and its Terminology:Between Local Social Practices and Jurisprudential Norms"(2014年6月23-24日)に参加し、三浦徹(研究代表者)が"What is called an Act of Donation?: A Comparative Terminology"という表題で日本中近世における寄進を取り上げ、ワクフと共通する寄進の定義を行った。 1.2 第4回中東研究世界大会(WOCMES、アンカラ、2014年8月18ー22日)にCNRS国際ワクフ研究と連携し、パネル“Diversity and commonality in theory and in practice: analyzing waqf and other endowment models in the Islamic World, Europe and beyond”を企画した。Randi Deghuilhem 、大河原知樹、大月康弘、Jean Pierre Dedieuのビザンツやスペインやオスマン帝国の寄進に関する報告によって、「不動産等を永久寄進し、寄進者とも国家とも独立した経営体をつくり、それによる利益を寄進者の一族および慈善(公益)の双方に配分するシステム」が、歴史上さまざまな地域に広く存在することがあきらかとなった。 2.海外研究者の招聘 Mohammadreza Neystani(CNRS研究員)を招聘し、サファヴィー朝におけるシーア派ワクフの理論と実践について、"Structure and Uses of Shia Waqfs during the Safavid Period”の報告をえた(2015年2月21日)。 3.ワクフ共通データベースの作成 CNRSが設計したリレーショナル・データベース(ワクフ文書、研究文献、文書テキスト)について、上記Neyestani氏によるセミナーを開催した(2015年2月20日)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北米中東学会(2013年度)や中東研究世界大会(2014年、8月)でのパネルによって、ワクフというイスラームの寄進制度を他地域の寄進制度と比較し、その共通性と固有性を明らかにしていく比較研究の方向性(比較の軸と意義)がさだまった。
さまざまな地域や時代にまたがるワクフの共同研究には、研究者間でデータを共通に利用できるデータベースが必要となる。CNRS国際共同研究との連携により、ワクフに関する共通のデータベースの試験的利用を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度に、ワクフ・寄進の地域間比較を主眼にした国際シンポジウムでを開催する。不動産の寄進制度の共通性をふまえて、これまで扱ってこなかったイラン、中央アジア、東アジア(中国、日本)のワクフ・寄進との比較を行うことによって、私(家族)と公の双方に財を残すという寄進のもつジレンマを解決するために、寄進と寄進財が、どのような制度のもとでどのように運営されたのか(理念・制度と実践・実態)、その地域・時代による異同や変化(ダイナミズム)を明らかにする。このことが、現代社会における寄進の意味を照らすことになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に予定される国際研究集会にむけて十分な予算を確保できるよう、事業計画に支障のない範囲での、物品費や旅費等の節減をおこなった。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度に実施する国際研究集会(東京)での実施費用に用いる。
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