研究課題/領域番号 |
25284141
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研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
三浦 徹 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (00199952)
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研究分担者 |
守川 知子 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (00431297)
永田 雄三 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (20014508)
林 佳世子 東京外国語大学, 総合国際学研究院, 教授 (30208615)
磯貝 健一 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (40351259)
大河原 知樹 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (60374980)
近藤 信彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90274993)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ワクフ / 寄進 / 都市 / ネットワーク / イスラーム / 国際共同研究 / 比較史 |
研究実績の概要 |
本研究は、ワクフを単にイスラーム史の文脈で説明するのではなく、他の地域の寄進・寄付と比較し、その歴史的・社会的意味を明らかにすることにある。このため、2011年度に開始されたCNRS(フランス)の国際共同研究事業(エクス・マルセイユ大学を中心に東洋文庫を含む9機関が参加)と連携し、フランス、アルジェリア、チュニジア、パレスティナ、アンカラなどで国際会議を行ってきた。27年度は、東洋文庫において、国際シンポジウムComparative Study of the Waqf from the East: Dynamism of Norm and Practices in Religious and Familial Donations(12月5-6日、東洋文庫総合アジア圏研究班と共催)を開催した。ワクフを「私有財(不動産)を一族や慈善のために永久的に寄進すること」と規定し、対象地域を東方(中央アジア、南アジア、東南アジア、東アジア)へと拡大し、それぞれの地域・時代における寄進の社会経済的な役割を討議した。海外から10名の研究者を招聘し、「利益Benefit」「ネットワーク」「変化Transition]の3つのセッションを構成し、11名の研究報告をもとに総括討論を行った。南アジアや東南アジアについての報告では、イギリスの植民地支配の拡大にともなって、ワクフの定式化(法制化)が進んでいったことが明らかにされた。また、明清時代の中国における祠堂や鎌倉・室町時代の土地寄進の盛行は、とりわけ欧米や中東の研究者に、ワクフとの共通の観点を喚起した。本シンポジウムをもとに、英文論集を刊行するとともに、事例研究をもとにデータベースを構築し、相互に情報を共有していくこと、国際集会を継続開催していくことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の眼目である国際会議を、(公財)東洋文庫総合アジア圏研究班との共催によって、第4回東洋文庫シンポジウムとして、ヨーロッパとアジアから研究者を10名招聘して実施し、不動産の寄進・寄付に関する論点を共有し、これをもとにした英文論集の出版の道筋をつけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
28年度には、日独のマムルーク朝研究者によるワークショップの開催(東京)や海外での研究集会への参加等によって4年間の研究成果を発信し、データベースの構築や海外調査をすすめ、寄進をめぐる比較研究のネットワークをさらに拡大する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際シンポジウムを、東洋文庫総合アジア圏研究班との共催によって行い、招聘旅費等の費用を節減することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度までの研究成果を国際発信し、研究者のネットワークを拡大するため、28年度に国際会議を東洋文庫で開催し、国外での学会への参加や海外調査を実施する。
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