研究課題/領域番号 |
25284147
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
豊田 浩志 上智大学, 文学部, 教授 (20112162)
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研究分担者 |
堀 賀貴 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (20294655)
黒田 泰介 関東学院大学, 建築・環境学部, 教授 (70329209)
加藤 磨珠枝 立教大学, 文学部, 准教授 (40422521)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | コンスタンティヌス大帝 / Malborghetto / Pons Milvium / 四面門 / 巨像 / 初期キリスト教 / 3Dレザー・スキャニング / 再生・利活用 |
研究概要 |
諸般の事情により、本年度は同一日程の現地調査はできなかったが、最大の成果として、フラミニア街道沿いのローマ郊外20Kmのイタリア国鉄ノルド線Sacrofano駅近くに残るコンスタンティヌス四面門遺構に関して、現地実測調査を実施することができた。この遺構は、後315年ごろ建設されたものが、中世以来聖堂や農家の納屋として転用されてきたことで、元来の構造の主要部分が残存することができた希有な例である。かねて黒田はそれ関係の文献収集を行ってきたが、今回、ローマ考古遺跡監督所の全面的協力のもと、3Dレザー・スキャニングの堀研究室実測班と共に、2013年9月7ー11日に行うことができた。 豊田はそれに先立ち8月下旬に、後312年10月下旬における現在のマルボルゲット集落からプリマ・ポルタまでのコンスタンティヌス軍の進軍路、およびそれを迎え撃ったマクセンティウス軍の防御・布陣状況を把握すべく、Saxa Rubraからミルウィウス橋周辺にいたる現地実地踏破を行い、それに関するH・K・B・フォン=モルトケ(後のプロイセン参謀本部総長)が1845・46年に作成した想定作戦布陣図の妥当性を再確認することができた。 加藤は、同年9月22ー28にローマ市内で開催された、教皇庁立キリスト教考古学研究所主催の第16回キリスト教考古学会国際大会「コンスタンティヌスと後継者たち:コンスタンティヌス的刷新、その諸起源と発展」に参加し、最新の研究動向・成果の収集に努め、今後の研究方向の展望を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた3Dレザー・スキャニングの実測作業は順調に進展し、初期の目的を達成できた。それはローマ考古遺跡管理事務所の担当所長Marina Piranomonte女史の全面的協力があったからである。 しかし、実はローマを訪れて驚いたことがある。2013年はコンスタンティヌス関係1700周年記念の中心年であるにもかかわらず、とりわけ豊田・加藤の主要研究対象であるコンスタンティヌス巨像の保存設置場所コンセルヴァトーリ宮殿中庭、それに堀・黒田の調査対象のコンスタンティヌス凱旋門、のいずれもが同時に壁面修復に入っていたことである。これは不意打ちであった。 この修復作業が例のごとく遅延すれば、我々の今後の調査の眼目である3Dレザー・スキャニング作業に支障が生ずることが予想されようが、その場合、実施年次の変更や、それらに準ずる調査対象で所期の目的を達成する段取りをとりたい。
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今後の研究の推進方策 |
次の予定実測対象は、コンセルヴァトーリ宮殿中庭の環境下でのコンスタンティヌス巨像であったが、ローマ考古遺跡管理事務所との事前接触では、すでにより精密な実測がドイツ調査団により実施されており、その必要を認めないと、とのネガティブな感触もえている。 さらに次善の選択肢であったコンスタンティヌス凱旋門も修復に入っており、こうなると当初の計画を若干変更せざるを得ないかもしれない。しかし調査対象に不足しないのが帝都ローマとコンスタンティヌス大帝である。たとえば、コンセルヴァトーリ博物館のもう一つのコンスタンティヌス青銅巨像部分、フラミニア街道沿いの他の遺構や、ローマ市内のもうひとつの四面門、フォロ・ロマーノ内のコンスタンティヌスのバシリカ等も十分調査に価する対象であり、遺跡管理事務所との円満なる関係を構築して、所期の目的を達成する方向で努力する所存である。
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次年度の研究費の使用計画 |
科研費の端数処理のため。 最終年度に、きちんと使用して処理したい。
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