研究課題/領域番号 |
25284148
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
森田 直子 立正大学, 文学部, 准教授 (30452064)
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研究分担者 |
山根 徹也 横浜市立大学, その他の研究科, 准教授 (10315822)
平山 昇 九州産業大学, 商学部, 准教授 (20708135)
小野寺 拓也 昭和女子大学, 人間文化学部, 講師 (20708193)
今野 元 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60444949)
西山 暁義 共立女子大学, 国際学部, 教授 (80348606)
辻 英史 法政大学, 人間環境学部, 准教授 (80422369)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 感情史 / ドイツ近現代史 / 日本近現代史 |
研究実績の概要 |
平成28年度も、当初の計画にほぼ従って、平均すると約3ヶ月に1回の割合で(合宿を伴う研究会を含めて)計4回の研究会を行った。その際の目的は大別すると次の2点にあった。①日本との比較:ドイツ近現代の「感情史」にアプローチすることを主眼とする本研究課題であるが、実施2年目より日本近現代との比較にも力を入れてきている。②「感情史」研究の紹介:欧米を中心に展開される「感情史」研究の意義や面白さを、日本の歴史家や読者層にもアピールする。 当該年度最初の研究会(5月初)では、上記の目的の①に直結するものとして、気鋭の日本近代史研究者である松沢裕作氏(慶應義塾大学)に「近代日本における「感情」の用法の一端─日清戦争前後を中心に」という報告をして頂き、それに基づいて議論を行った。19世紀末から20世紀初頭にかけての日本で、「感情」という言葉がどのような文脈でいかように用いられていたのかについての極めて興味深い報告であり、とくに概念史という点でドイツ史研究(者)への大きな刺激となった。 第2回の研究会(8月初)では、ヤン・プランパー(ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ)が2012年にドイツ語で出版し、2015年に英訳されて影響力を持っている感情史の概説書『感情の歴史』の読み合わせを行った。上記の目的②に関連し、同書を日本語に翻訳・出版することを目指し、出版社との交渉などの計画を立てた。(その後、みすず書房で出版との交渉が成立した。)同時に、上記の目的①との関連で、「感情」をキーワードとする近代日独文化交流史に関連する資料館・ 遺構の視察(久留米俘虜収容所関連施設(ドイツ兵俘虜慰霊碑)、北原白秋記念館)を行った。 第3、4回の研究会(12月下旬、3月下旬)では、翻訳作業において浮上した問題点などの検討を中心に、本課題研究の成果公表に向け、具体的なスケジュール等を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研の研究成果の公開の一端として、ドイツ現代史学会大会を平成29年9月23日(土)・24日(日)に共立女子大学において開催する。これは、論文公刊や口頭発表といった形での個々人の成果公開とは別に、本科研の締め括りとして、メンバーが皆で協力して学会大会を組織して成果公開するという以前からの計画の実現である。 そのため、研究実績の概要の項でも書いたとおり、平成28年度の後半から研究会内外で連絡を取りつつ大会にあたっての役割分担を行い、着実に準備を進めているところである。すでにプログラムはウェブ上でも公開され(http://dgendaishi40.blogspot.jp)、関係のメーリングリスト等でも配信されている。
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今後の研究の推進方策 |
秋のドイツ現代史学会大会を以下のプログラムに沿って成功させることが、今後の研究の推進方策である。 大会1日目は、本科研の申請時点で招聘を前提に協力を要請し、承諾を得ていたU. フレーヴェルト(マクス・プランク教育研究所所長)の公開講演“The Politics of Humiliation: Shame and Shaming in Modern History”(「侮辱の政治―近代史における恥と恥をかかせること」)を行う。2日目には、公開シンポジウム「感情史の射程―日独事例研究から―」で本科研メンバーから3名が登壇し、3名のコメンテータを呼んで議論を行う。 後援者やシンポジウム登壇者とのやり取り、会場のロジスティクスなど、諸々の仕事があるが、本科研メンバーで分担し、各自が着実に仕事を進めることが重要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本科研の最終年度(すなわち平成28年度)に計画していたドイツ現代史学会大会開催担当を、講演者として是非とも招聘したいと考えていたU. フレーヴェルト氏の都合により延期せざるを得なくなった。そのため、大会開催費用(含む、招聘費用)として計上していた額を次年度に繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年9月23日・24日のドイツ現代史学会大会開催でほぼ消化する計画である。内訳としては、ドイツからのゲストスピーカーの招聘費用(旅費全般+謝金)、本科研メンバー以外のシンポジウム・コメンテータの方々への謝金、学会運営のための学生アルバイト代などである。
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