研究課題/領域番号 |
25284151
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
竹広 文明 広島大学, 文学研究科, 准教授 (60252904)
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研究分担者 |
古瀬 清秀 広島大学, 文学研究科, 教授 (70136018)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 考古学 / 先史学 / 隠岐 / 黒曜石 / 原産地遺跡 |
研究概要 |
本年度は、研究1.~3.を中心に実施した。 <研究1.>隠岐黒曜石原産地遺跡の調査 島根県隠岐の島町の久見黒曜石原産地の踏査を実施し、原産地遺跡の調査方法について検討した。また、加茂黒曜石原産地の加茂サスカ遺跡出土の縦長剥片剥離技術関連資料の整理・分析を行った。資料には、縦長剥片石核、縦長剥片、そして製品であるナイフ形石器が認められ、原産地における原石採取から、縦長剥片生産、そして製品製作へといたる一貫した製作を示す原産地での活動状況を鮮明にできたことに意義、重要性がある。また、時期的には、本土側の層位的出土資料との比較検討から、加茂サスカ遺跡の活動時期の少なくとも一時期がナイフ形石器文化期後半の岡山県恩原2遺跡S文化層段階に対応する可能性が高いことが推定でき、以上の研究成果は本学考古学研究室紀要にまとめ公表を行った。 <研究2.> 中国地方を中心とした隠岐産黒曜石利用遺跡の資料調査 隠岐産黒曜石利用状況についてのデータ収集を行った。 <研究3.> 帝釈峡遺跡群の発掘調査による隠岐産黒曜石の搬入・利用状況の調査 広島県帝釈峡遺跡群について、神石高原町帝釈大風呂洞窟遺跡において、8月を中心に約1月間、発掘調査を実施した。縄文時代後期をはじめとした土器、石器類が出土し、隠岐産と推定される黒曜石製石器剥片類も認められた。調査データ、出土遺物の整理・分析を行い、調査成果は本学帝釈峡遺跡群発掘調査室年報にまとめ公表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1「隠岐黒曜石原産地の調査」について、当初久見での発掘調査を計画していた。調査準備のための踏査も行ったが、検討の結果や諸事情により発掘調査の実施が困難と判断され、実施にいたらなかった。その分、当初の計画で想定していた達成度からは遅れが生じた。しかし、久見での発掘調査を実施しなかった分、時間的余裕ができたため、隠岐黒曜石原産地の一つ加茂原産地の加茂サスカ遺跡出土資料についての整理・分析を実施し、研究実績の概要欄で記したような研究成果が得られ、研究1について一定の成果を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、5か年の研究計画であり、全体計画としては、本年度および平成26年度は、研究実績の概要欄に示した研究1「隠岐黒曜石原産地の調査」、研究2「中国地方を中心とした隠岐産黒曜石利用遺跡の資料調査」、研究3「帝釈峡遺跡群の発掘調査による隠岐産黒曜石の搬入・利用状況の調査」を実施し、平成27年度以降は、研究1~3に加え、研究4「隠岐黒曜石原産地遺跡および利用遺跡で収集した資料の分析・比較検討」も実施し、最終年度の平成29年度に以上の研究をもとに研究成果のとりまとめを行う計画であり、こうした方針に沿って、次年度以降も研究を推進していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
隠岐黒曜石原産地の調査で予定していた10日間程度の発掘調査が諸事情により実施できなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度からは、隠岐黒曜石原産地の巡検、分布調査などを計画しており、その費用などにあてたい。
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