研究課題/領域番号 |
25284157
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
山田 康弘 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40264270)
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研究分担者 |
茂原 信生 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 研究員 (20049208)
設楽 博己 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (70206093)
米田 穣 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30280712)
近藤 修 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40244347)
太田 博樹 北里大学, 医学部, 准教授 (40401228)
山崎 健 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 研究員 (50510814)
山本 直人 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (60240800)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
五十嵐 由里子 日本大学, 歯学部, 講師 (60277473)
谷畑 美帆 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10440174)
松村 博文 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (70209617)
佐々木 由香 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70642057)
水嶋 崇一郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (90573121)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 考古学 / 人類学 / 縄文時代 / 保美貝塚 / 人骨 |
研究実績の概要 |
今年度の研究についても順調に進展をしている。これまでの発掘調査において出土した土器・石器・人骨については,基礎的な整理作業が終了し,実質的な分析作業へと進んだ。その結果,盤状集骨葬における最小個体数が,頭蓋では12~13体前後であること,年齢としては3歳くらいの幼児から老年期段階まで事例が含まれること,男女比はほぼ半々であること,概して体格のがっしりした人物が多く,また加齢による骨病変がほとんど見られないなどの様々な点が判明した。 また,保美貝塚出土人骨の年代測定を行ない,その年代的位置づけを明確にした。さらには,遺跡内出土植物遺存体,赤色顔料等の分析も行うなど,遺跡資料の分析に関わるデータを着実に積み上げている。 さらに,11月に保美貝塚において追加調査を行い,主たる遺構である盤状集骨葬の周辺に柱穴などが存在しないかどうかを検討し,土壙以外に関連施設が存在しないことを確認した。 この他,地元との教育的連携としては,田原市中央図書館において,これまでの発掘調査の成果概要をパネルにした小企画展を行い,地域との連携を図った。なおこの小企画展については,市内の図書館を中心に巡回を行い,研究成果の地元への還元を行っている。 これらの成果については,HP(ブログ)http://blogs.yahoo.co.jp/arch_yamadaにおいて,研究の進捗状況を適宜発信している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発掘調査によって出土した,考古遺物および人骨資料の基礎的な整理がほぼ一段落し,年齢・性別といった基礎的な情報だけではなく,人骨の年代や相互の位置関係など詳細な検討にすでに取りかかっている。この他,出土人骨の年代測定,食性分析等の結果も出てきている。 加えて,これまでの発掘調査の結果から必要と思われた,人骨集積の近接地点の発掘調査を行い,その結果も得ている。 また,周辺遺跡の事例の分析や,動物・植物考古学的な検討も行っており,最終年度に向けて研究の着地点を見いだすことが出来ている。 以上の点からみて,研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度にあたるため,研究成果をまとめることを第一の課題とする。そのために2014年度までの研究の進捗状況をみきわめながら,考古学的・人類学的情報の検討と分析を進めるとともに,最終的な結論を見出すことに努め,議論の収束をはかる。 具体的な作業としては,保美貝塚より検出された盤状集骨葬例の構築過程の復元と個々の人骨における形質的な情報,および年代測定結果,DNA分析結果の突き合わせ,このような特殊な埋葬が行われた当時の社会的背景について考察を加える予定である。また,周辺遺跡における事例や,動物・植物考古学的な分析結果からもあわせて考察を行うこととしたい。 以上の検討を行い,提出用の研究成果報告書を作成するとともに,出版社とタイアップして研究論文集の企画,出版準備を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の平成26年2月に追加の発掘調査を予定していたが,天候不順が続き,遺跡の地下水位が上昇してしまい,予定していた調査を行うことが不可能となった。今回の次年度使用額は,その発掘調査費用として想定していたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度中に追加の発掘調査を行い,次年度使用額を消化する予定である。
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備考 |
今回の科研費による研究成果を発信するために立ち上げた専用のブログである。
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