研究課題/領域番号 |
25284166
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
淺野 敏久 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (00284125)
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研究分担者 |
伊藤 達也 法政大学, 文学部, 教授 (60223161)
金 どぅ哲 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (10281974)
平井 幸弘 駒澤大学, 文学部, 教授 (30181134)
香川 雄一 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (00401307)
フンク カロリン 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (70271400)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 湿地 / ワイズユース / 保全と活用 / ラムサール条約 / グリーン経済 / ヨーロッパ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,湿地の保全と活用の実態を,日・韓・越・欧という条件の異なる地域での現地調査を通じて批判的に検討し,湿地のワイズユースや持続可能な開発をめぐる論点を明らかにすることである。平成26年度は,当初計画に基づき,ヨーロッパ(ドイツ,フランス,スイス)の湿地に関する現地調査をメンバー全員で行った。また,メンバーはそれぞれで日本国内やベトナム(平成27年度共同調査予定)の湿地に関する調査を行った。調査のポイントを,前年度までと同様に,1)湿地のワイズユースに関して,理念と現実を対比し再検討する,2)特に湿地の保全と利用の折り合いのつけ方に注目する,3)湿地の保全と利用のあり方を方向づける地域の特性に注目する,4)地域間比較を通じて,ワイズユースや持続可能性の理念と現実のギャップを論じることにおいた。 計画に沿って実績を報告する。まず,研究の視点や枠組みの検討では,先行研究レビューによる論点整理を行い,研究会やメールによる情報共有化とディスカッションに努めた。ラムサール条約登録と住民に関してAsano(2014)は,人文地理学会誌の特集号(Rethinking Geographies of Nature)にこれまでの研究会や共同研究における議論の一つをまとめた。次に,本年度の共同調査として夏にヨーロッパを訪れ,ラムサール事務局での湿地の保全と利用についての事務局としての見解等に関する聞き取り,フランスのエビアン,ドイツのワッデン海,エルベ川等での事例調査を行った。また,日本の湿地については,メンバー各人が,サロマ湖,霞ヶ浦,涸沼,琵琶湖,長良川などでの情報収集を行った。韓国での湿地意識調査(平成25年度実施)を論文にまとめた(投稿し査読審査中)。ベトナムでの来年度調査に向けて,平井と金はそれぞれ現地調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画が妥当であったことと,共同研究者の相互の協力が得られたことによる。ただし,共同研究者全員のスケジュールを調整するのがかなり難しく,特に年度後半に研究会・共同現地調査を行えず,議論を重ねて,論点を擦り合わせることが必ずしも十分にできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,海外の事例調査として年末にベトナムのラムサール条約湿地を訪問し,湿地保全とエコツーリズム,湿地と住民をキーワードとして情報収集に努める。また,本年度は最終年度でもあり,これまでの調査結果を総括する必要がある。これまでの調査で情報を得た,日本,韓国,ヨーロッパの事例をあわせて,湿地のワイズユースに関する論点を整理し,湿地のワイズユースに関する見解を示す。その上で,研究成果を今後どのように社会的に発信していくのかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が約17万円生じた。本研究は3年度計画で,国内現地調査と海外現地調査を組み合わせている。海外については,初年度は韓国,本年度はドイツ・スイス,来年度はベトナムを計画している。本年度はヨーロッパへの調査を計画したので,初年度には約69万円を次年度(本年度)に積み残した。繰り越した予算を全部は使わなかったものの,それが備えになって予算不足になることを免れた。最終年度である次年度にはベトナムへの調査を行うので,その際に支出負担が大きくなる予定の分担者フンク氏が,予算の安全をみて次年度に積み残した。また,本年度は,共同での国内調査を,広島大学での水郷水都全国会議への参加のみにしたが,参加できたメンバーが少なかったため,旅費支出が抑えられたことも理由となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の計画もほぼ当初計画通りに進める。本年度繰り越しを多く残した分担者は,今回のベトナム調査で,ベトナム人研究者の同行を手配するなど,支出が多めになるので,平成26年度に繰り越したことは問題ない。また,平成27年度は,最終年としての総括的な国内研究会も回数を増やして実施する。
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