研究課題/領域番号 |
25284171
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
杉山 祐子 弘前大学, 人文学部, 教授 (30196779)
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研究分担者 |
阪本 公美子 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (60333134)
坂井 真紀子 東京外国語大学, その他部局等, 准教授 (70624112)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 現金の社会化 / アフリカ農村 / 日本の地方農村 / ジェンダー / 現金づくり / 現金づかい |
研究実績の概要 |
研究2年目となる今年度の課題は、試行的分析枠組みをふまえて現地調査を深めること、日本の農村を比較対象とすることによって、生産資源のマネジメントを含めた「現金の社会化」への視座を広げることであった。 現地調査は当初計画通り、1)タンザニア国ドドマ州の村落において、現金収入源のバラエティとその変遷を把握し、新たな現金収入源としての乾季潅水型野菜栽培の進展過程、1970年代のODAプロジェクトとして始まった植林事業の地域的展開過程および農村女性の家計を含む生活史に関する調査を継続した。また2)同国リンディ州、ムトゥワラ州の生活史調査から、とくに海岸部と内陸部における成人儀礼について「現金づかい」の側面から調査を進め、3) カメルーン農村における基礎調査を開始した。日本では、4)青森県を中心とした農産物直売所と出荷者の活動をめぐる調査、宮城県気仙沼市の朝市、島根県松江市・大根島の牡丹苗行商、高知市の街路市などで現地調査、文献収集や関係者からの聞き取りを行った。日本の農村地域における女性の労働と現金収入の関係の実態的な把握をおこなった。 課題研究会については、研究成果のすり合わせを目的とした研究会を2回、共同での調査を中心とする研究会を1回の計3回実施し、高知県における市や「現金稼ぎ」に関わる女性の諸活動の研究蓄積からの知見を学ぶとともに、農外収入を得る諸手段のバラエティやその変遷過程、「現金づくり」としての集団的背景と機能、土地利用をめぐる各世帯の対応や近年の動きについての知見の共有ができた。また、 これらの研究成果を各所属学会の学術大会で発表し、さまざまな情報をえることができた。日本アフリカ学会第50回学術大会での本課題にかかるポスター発表は優秀賞を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タンザニアの基盤フィールドにおける現地調査が計画通り進み、課題研究メンバーそれぞれのフィールドにおける調査とのすり合わせが順調に行われている。想定していた個別フィールドのうち、チャド農村の調査は、昨年度、治安上の理由から現地調査を断念せざるをえなかったが、今年度はカメルーンを代替フィールドとして調査することができた。日本での農村調査も条件の異なる複数の地域に対象を広げ、多くの事例と分析枠組みを練るための知見を得ることができた。 成果発表についても、各所属学会において当初予定を超えて実現している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は順調に進捗しているので、今後も計画どおりに調査と分析を進める。家計調査については家計日記にもとづく聞き取り調査を行う。 個別フィールドとして選定していたチャドは治安の問題があり、現地調査の実施がむずかしくなったが、代替としてカメルーン農村の調査を進める。 基盤フィールドとしてのタンザニア調査および日本の比較フィールドを含む個別フィールドでの調査は予定通り進め、これらの成果に照らしながら当初の分析モデルの修正をはかる。
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