本研究は、工芸(品)の商品としての特異性に着目して、アジアにおける工芸(品)の生産、流通、消費のプロセスを分析した。工芸(品)は、他の消費材とは異なり、別種のマーケットを移動、転位することによって、実用品が、アンティークになるように、他の商品カテゴリーに移行して、付加価値が生じることがある。この意味では、工芸(品)は変身可能な、永遠の商品たりうる。このように通常の消費材とまったく異なる動きをする商品としての工芸(品)に着目することで、経済学や経済人類学がその理論的前提としている商品概念の再考が可能になる。
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