研究課題/領域番号 |
25284179
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
関沢 まゆみ 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (00311134)
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研究分担者 |
小椋 純一 京都精華大学, 人文学部, 教授 (60141503)
宮内 貴久 お茶の水女子大学, その他部局等, 教授 (10327231)
竹内 由紀子 愛国学園短期大学, その他部局等, 講師 (40587987)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高度経済成長 / 生活変化 / 民俗学 / 民俗調査項目 / ダム建設 / 集落の移転 / 都市型生活 / 地域差 |
研究概要 |
これまで高度経済成長と生活変化をとらえる民俗学の研究として、福島県南会津郡の田子倉の事例から、高度経済成長を支え、人々の生活を都市型生活へと変えたのは、水力、電力の安定的供給であること、その一方で山村の生活が消滅したことなどが指摘されていたが、その点についてより深化させるために、研究員が共同で田子倉ダムと同じ時期に建設された広島県北広島町の樽床ダムおよびその周辺の実地調査と樽床から移転した経験者の話を伺う機会を設けた。昭和30年前後にダム建設が行なわれ、移転を直接経験した人々への聞き取り調査も時代的、世代的に現在がラストチャンスといえるが、共通の質問項目を作成し、各地の事例を収集することで、集落の移転をめぐる対応(ダム建設が決まってから協定締結・調印まで、移転が決定して、移転後など)にも地域差がみられる可能性が指摘された。基準をそろえた民俗調査項目の必要性は、民俗学にとってその基礎構築のためにも、研究情報の相互活用の上でも重要不可欠と認識されてきており、その有効性の一つは1960年代の変化の特徴が画一的か段階的か、地域差はどのようにみられるかなどを明らかにすることによって、柳田國男が想定した「文化変化の遅速」のようなグラデーション的変化がみられるかどうかを具体的に追跡確認できる点にある。 生活変化の研究対象としては、ダム建設によって水没し急になくなった農山村(移転)、村落は維持されながらも徐々に変わっていく農山漁村、新しくできた都市近郊団地の生活、など場の違いによる場合と、また一方、衣食住など個別テーマの場合などが考えられることが共通の理解となった。これらによって、研究会では各位の調査報告とあわせて、共通の質問項目案の作成も行なっていくという方向性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既刊の民俗誌や、研究員各位が昭和40年代以降、民俗調査を行なった地域をそれぞれ選択し、その民俗の変化についての追跡調査の可能性をさぐる予備的調査を行ない、その際、新しい試みとしてまた本研究の特徴として、研究者間で共有し相互に活用できるような共通の民俗調査項目の作成を試みることについて、研究員各位によるそれぞれの役割分担にしたがってのフィールドワークが開始され、おおむね予定通りといえる。
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今後の研究の推進方策 |
生活変化の研究対象としては、ダム建設によって水没し急になくなった農山村(移転)、村落は維持されながらも徐々に変わっていく農山漁村、新しくできた都市近郊団地の生活、など場の違いによる場合と、また一方、衣食住など個別テーマの場合などが考えられることが共通の理解となった。当初の計画では、2014年度に高度経済成長と生活変化に関する調査カードに基づく調査の実施を予定していたが、予想以上に調査項目案の作成こそが大きな課題であることを認識した。そこで、今年度は研究会では各位の調査報告とあわせて、共通の質問項目案の作成に重点を置く。主な調査地としては前年度予備的調査が行われた福岡市南区弥永地域の団地、広島県中山間地農村などの調査のほか、山口県長門市花尾山、兵庫県養父市大久保ハチ高原の現地調査と土壌分析(土地利用と植生景観の変遷を明らかにする)、1950年の河川総合開発事業(特定地域総合開発計画事業)で移転した集落の生活についての体験者からの聞き取り調査および文献資料調査などを継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月の調査予定のうち、実施できなかったものがあったため。 今年度に昨年度末に予定していた調査を実施する。
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