研究課題/領域番号 |
25285005
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
渡辺 千原 立命館大学, 法学部, 教授 (50309085)
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研究分担者 |
平野 哲郎 立命館大学, 法学部, 教授 (00351338)
水野 紀子 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40114665)
米村 滋人 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40419990)
一家 綱邦 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, 倫理相談・教育研修室長 (50453981)
平野 仁彦 立命館大学, 法学部, 教授 (80189852)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 法と科学 / 専門家証人 / 医事訴訟 / 鑑定 / 科学的証拠 / 専門職 / 医療安全 / 裁判制度 |
研究実績の概要 |
今年度は、フランス調査に重点を置き、フランスでの鑑定制度をテーマにした研究会を2回開催したほか、9月にフランス調査出張を行った。フランスの司法鑑定人評議会でEmmanuel Charrier法務委員長にインタビューを行い、司法鑑定人の倫理や水準向上のための諸取り組みについて調査を行ったほか、専門裁判所の見学を行った。また、エクサンマルセイユ大学では、科学と法に関するワークショップに参加して、代表者である渡辺、分担者である水野教授、米村教授、平野哲郎教授、連携研究者である本堂毅准教授が、現地で報告、Eve Truihe-Marengo博士たちと、今後の研究交流に関しての意見交換を行った。2回の研究会では、フランスでの裁判研究の経験のある先生からレフェレについて教示いただいたほか、フランスの鑑定制度で博士論文執筆している若手研究者の研究報告をもとにディスカションを行った。 それ以外にも、引き続き裁判における科学的証拠や専門家証人、鑑定に関する研究を行い、メンバーによる論文等での公表をしている。これまでのオーストラリア調査や東京でのカンファレンス鑑定調査結果の一部を渡辺が、「裁判と科学」という論文にまとめて、法社会学の学術雑誌に発表したし、他のメンバーも各自で論文や著作での発表を進めているところである。 医事裁判や医療と法に関しては、2016年度の日本法社会学学術大会でのミニシンポジウム「事前規制と事後救済の交錯-医療専門分野における現状と課題-」を企画しており、5月末の本番に向けて現在、その準備を進めているところである。 そのほかに、医療事故予防に向けた法的な取り組みと、それに対する専門家の関与の在り方に関して、医療機関の医療安全管理の担当者や、院内弁護士の仕事の調査にも着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来は、平成27年度にシンポジウムなどの成果の公表を行って研究を終了する予定であったが、27年度には、当初の予定を少し変更して、鑑定制度の発達している大陸法の国の代表であるフランスに重点を置いた調査や研究交流を行った結果、研究機関全体としての成果報告や、追加の調査結果を整理したり公表するという作業が、当初計画よりも遅れることになった。
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今後の研究の推進方策 |
成果を多くの研究者が参加する公式な学会等で積極的に報告していくことで、成果報告を幅広く行うことが望ましいとの考え方から、28年度は、これまでの研究成果を整理して、研究成果を国内外の学会等で発表していくことを予定しており、すでに国内の学会でのミニシンポジウムを企画しているほか、海外での国際学会での報告の準備を進めている。研究チームの研究拠点が仙台、東京、関西圏と散らばっていることから、全体会議を頻繁に行うのが難しいことから、成果報告に関しては、小さいグループでの意見交換や準備会も適宜開催することで、インテンシブな調査や議論を進められるよう工夫する。また、海外発信にも重点を置き、現時点ではウィーン開催の国際社会学会と、シンガポールで開催される東アジアほ法社会学会といった国際学会での成果報告を目指して準備中で、国際社会学会での報告はすでに採択され、最終準備段階に入っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、27年度に海外から研究者を招聘しての国際シンポジウム開催を予定していたが、法制度やその運用状況に大きな違いのある各国の研究者を招聘しての一同に会したシンポジウムを開催するよりも、調査を深めて、研究成果として整理して、論文や学会での国際発信を行う方が有益であるという方針に変更して、27年度には海外調査をさらに行ったもののシンポジウム開催はしなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度は、27年度までの研究成果をいくつかの段階、テーマに分けて国内・国際会議で発表することを予定しており、5月の日本法社会学会、7月の国際社会学会での報告は決定しているほか、9月の東アジア法社会学会、11月の科学技術社会論学会での報告も目指している。また、代表者・分担者による研究成果の著作や論文での発表も重点的に行いたいと考えており、そのための資料収集や印刷などにも、活用する予定である。
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