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2014 年度 実績報告書

戦後日本の統治構造改革史に対する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25285036
研究機関東京大学

研究代表者

牧原 出  東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00238891)

研究分担者 御厨 貴  東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00092338)
伊藤 正次  首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (40347258)
砂原 庸介  大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40549680)
秋吉 貴雄  中央大学, 法学部, 教授 (50332862)
村上 裕一  北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (50647039)
手塚 洋輔  京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (60376671)
竹中 治堅  政策研究大学院大学, その他の研究科, 教授 (70313484)
小宮 京  青山学院大学, 文学部, 准教授 (80451764)
飯尾 潤  政策研究大学院大学, その他の研究科, 教授 (90241926)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードオーラル・ヒストリー / 戦後自治史 / 内閣法制局 / 地方分権改革 / 人事院
研究実績の概要

第1に、オーラル・ヒストリーについては、人事院総裁経験者と第一次地方分権改革の主要な推進者へのプロジェクトを立ち上げ、聞き取りを継続した。前者については、戦後の統治機構改革にさまざまな形で関わった実務家であり、いくつかのポストに関して行った前任者へのオーラル・ヒストリーと対照させつつ、聞き取りを進めている。後者については、地方分権改革が戦後の統治構造改革の枢要な柱であり続けたことから、改革の起源、構想の変容、第一次分権改革、その後についてこれまで発表されたさまざまな記録とのクロス・チェックを行いつつ進めている。
第2に、戦後自治史資料集の分析である。これについては、占領期の内務省関係者によって22回にわたって開催された前後自治史座談会記録を講読し、これと関係する文書を分析する研究会を開催した。とりわけ地方自治法制定過程について、既発表の資料との重複がどの程度かについて検証を行った。
第3に、オーラル・ヒストリー方法論については、大森政輔氏、黒野匡彦氏のオーラル・ヒストリー記録を編集し、その記録をもとに、適切な聞き取りと編集のあり方について検討を行った。内閣法制局長官、運輸事務次官を務めた行政機関幹部の記録であるため、組織文化と行政的リーダーシップのあり方を検討するにはきわめて適切な記録であり、その検討は今後の行政機関幹部クラスの人材への聞き取りにおいて、極めて重要であった。また、前者については、裁判所と内閣法制局でキャリアを蓄積しており、関連資料と合わせて、これら二組織の独立性の比較検討作業を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に掲げた項目を着実に推進しており、「おおむね順調に進展している」と評価できる。
第1に、オーラル・ヒストリーについては、予定通り独立機関の関係者への聞き取りを円滑に推進することができた。さらに戦後の統治構造改革なかんずく1990年代以降の改革に関しては、改革の主要な推進者へのオーラル・ヒストリーを継続している。いずれも貴重な情報の宝庫となっており、聞き取り終了後これを報告書にまとめたときに、学界に資するところは多大であると考えられる。
第2に、オーラル・ヒストリー方法論としては、運輸事務次官等を務めた黒野匡彦氏のオーラル・ヒストリー記録の編集を行い、その結果について検討作業を進めた。1993年の政権交代から省庁再編期に、各省の側でどのような対応がなされたかを語っており、その記述について検証を行った。
第3に、統治構造改革研究として、戦後自治史資料集の分析を行った。同資料が量的に膨大であることはすでに了解されていたが、座談会記録が質的に重要であることが改めて共有され、その分析は戦後の統治構造改革の分析にとり必須の作業である。これについても、地方自治法の制定過程を中心に検討作業を継続しており、計画通りに進行しているものと考えられる。また、安倍晋三内閣の集団的自衛権についての憲法解釈変更と並行して注目を集めた内閣法制局研究にも着手した。これについては、大森政輔オーラル・ヒストリーを編集し、その内容について討議することで、戦後の内閣法制局の変容について研究を進めた。

今後の研究の推進方策

第1に、前年度に引き続いて研究会を開催(4~6回を予定)し、統治構造改革とそこから見える戦後政治の変容について、議論を深める。戦後自治史資料集の解析も今後継続的に進めていく。その上で、司法権、地方自治等についての制度原理について、比較研究及び理論研究を継続する。
第2に、前年度に引き続き、オーラル・ヒストリーを実施する。省庁再編、公務員制度改革、地方分権改革を中心に聞き取りを進める一方で、他の改革分野についての個別的な聞き取りに着手する。合計で27年度に25回程度を予定している。これらは全て、26年度と同様の方法で記録とその管理を行う
第3に、オーラル・ヒストリー方法論の研究である。本プロジェクトが対象とする統治構造改革に限らず、1990年代以降を対象とした政府関係者へのオーラル・ヒストリー・プロジェクトがある程度蓄積された段階で、その内容についてレビューを行い、良質な談話記録を産出するオーラル・ヒストリー・プロジェクトの条件は何か、さらには談話記録に対していかにクロス・チェックをすれば、戦後政治への新たな洞察が得られるか、インタビュー実施以前の段階における一般的な了解事項の限界はいかなる点から生じているのか、という諸点をテーマに共同研究を進める。これらを通じてオーラル・ヒストリーの方法論を総合的に検討する。

次年度使用額が生じた理由

研究会での欠席が生じたため。

次年度使用額の使用計画

次年度の旅費に充当する。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (7件)

  • [雑誌論文] 政治からの人事介入と独立性2015

    • 著者名/発表者名
      牧原出
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 86 ページ: 41-47

  • [雑誌論文] 自治体間連携の時代?―歴史的文脈を解きほぐす2015

    • 著者名/発表者名
      伊藤正次
    • 雑誌名

      都市問題

      巻: 106巻2号 ページ: 48-57

  • [雑誌論文] Regulation, Governance, and 'Capture': Commentary on My Case Studies and Theoretical Trend2015

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 雑誌名

      Special Edition of Annals, 2015: Frontiers in Public Pol-icy(公共政策学の最前線:北海道大学公共政策大学院 創設10周年記念誌)

      巻: - ページ: 1-14

  • [雑誌論文] 「司令塔機能強化」のデジャ・ヴュ:我が国の科学技術政策推進体制の整備を例に2015

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 雑誌名

      年報 公共政策学

      巻: 9 ページ: 未定

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 「特別市」構想の設計と展開―「二度あることは三度ある」か、「三度目の正直」か2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤正次
    • 雑誌名

      年報行政研究

      巻: 49 ページ: 42-59

  • [雑誌論文] 社会システム:国内外に広がる複雑な「行政」の構造を解明する2014

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 雑誌名

      知のフロンティア:北海道大学の研究者は、いま

      巻: 3 ページ: 26-27

  • [雑誌論文] 船舶の国際規制の特徴:他の産業分野との比較研究に向けた論点整理2014

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 雑誌名

      日本海洋政策学会誌

      巻: 4 ページ: 127-138

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「討論:歴史研究の観点から」〈分科会J(書評セッション)「民主党研究における継続と発展」〉2014

    • 著者名/発表者名
      小宮京
    • 雑誌名

      選挙研究

      巻: 2014年Ⅱ号 ページ: 131

  • [学会発表] 船舶規制と国際経済法との接点について2015

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 学会等名
      国際経済法・国際行政法基礎理論研究会
    • 発表場所
      明治大学駿河台キャンパス (東京)
    • 年月日
      2015-03-28
    • 招待講演
  • [学会発表] 再考・戦後警察制度改革2014

    • 著者名/発表者名
      小宮京
    • 学会等名
      青山学院大学文学部史学科フォーラム
    • 発表場所
      青山学院大学 (東京)
    • 年月日
      2014-12-17
  • [図書] 建築と権力のダイナミズム (吉田茂とその邸宅:権力継承のスタイル)2015

    • 著者名/発表者名
      御厨貴・井上章一編 (牧原出)
    • 総ページ数
      329 (153-198)
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] ローカルからの再出発 (多機関連携としてのローカル・ガバナンス―就労支援行政における可能性)2015

    • 著者名/発表者名
      宇野重規・五百旗頭薫編 (伊藤正次)
    • 総ページ数
      356 (81-101)
    • 出版者
      有斐閣
  • [図書] ローカルからの再出発--日本と福井のガバナンス2015

    • 著者名/発表者名
      宇野重規・五百旗頭薫編 (砂原庸介)
    • 総ページ数
      356 (103-126)
    • 出版者
      有斐閣
  • [図書] 21世紀デモクラシーの課題:意思決定構造の比較分析2015

    • 著者名/発表者名
      佐々木毅編 (飯尾潤)
    • 総ページ数
      421
    • 出版者
      吉田書店
  • [図書] Policy Analysis in Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Yukio Adachi, Sukehiro Hosono, and Jun Iio (eds.)
    • 総ページ数
      312
    • 出版者
      Policy Press (UK)
  • [図書] 現代日本の政治2015

    • 著者名/発表者名
      飯尾潤
    • 総ページ数
      248
    • 出版者
      放送大学教育振興会
  • [図書] ホーンブック地方自治 第3版2014

    • 著者名/発表者名
      磯崎初仁・金井利之・伊藤正次
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      北樹出版

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公開日: 2016-06-01  

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