研究課題/領域番号 |
25285038
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
水島 治郎 千葉大学, 法経学部, 教授 (30309413)
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研究分担者 |
土倉 莞爾 関西大学, 法学部, 教授 (00067703)
田口 晃 北海学園大学, 法学部, 教授 (30113583)
野田 昌吾 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50275236)
中山 洋平 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90242065)
伊藤 武 専修大学, 法学部, 教授 (70302784)
作内 由子 千葉大学, 法経学部, 助教 (60631413)
古賀 光生 二松學舍大學, 国際政治経済学部, 講師 (50645752)
今井 貴子 (小関 貴子) 成蹊大学, 法学部, 准教授 (60552859)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 政治学 / 新右翼 / ポピュリズム / 保守主義 / 保守政治 |
研究概要 |
平成25年度は研究初年度であることから、本研究プロジェクトの基礎作業として、以下の作業を行った。まず戦後、特に1990年代以降のヨーロッパ各国(およびEUレベル)の保守政党を主たる対象として、資料の収集を開始した。研究メンバーの数名は現地に渡航し、聞き取り調査や一次資料収集を精力的に行った。具体的には、連邦議会選挙が行われたドイツについては、現地のテレビ・新聞を含む貴重な情報の収集を行い、イギリスでは、次期総選挙の立候補予定者や選挙区の政党代表らから聞き取り調査を行い、イタリアでは、保守系政治家の経済政策について実地調査を行っている。また研究会を東京・大阪・神戸で開催し、各メンバーの研究状況を公表して共有を図った。ポピュリスト政党の躍進と既成政党の対応のパターンが比較検討されるなか、既成保守政党による総選挙圧勝をみたドイツにおいて、メルケル首相への高い有権者の信任が、ポピュリスト政党による挑戦を退け、キリスト教民主主義政党の総選挙圧勝につながったことが明らかとなった。総じて、2000年代にポピュリスト政党が躍進したものの、各国で既成保守政党がアジェンダ設定やリーダーシップスタイルの改革を通じた対応を打ち出すことで、一定の有効な対抗戦略を成功させていることが見て取れる。本企画は、数年以内に「保守比較」をテーマとした論文集の公刊を意図しており、出版に向けた具体的な準備(執筆者リスト、章立ての作成)を進めており、検討の結果、1.理論枠組み、2.歴史比較、3.既成保守政党の変容、4.ポピュリスト政党の進出、の4部構成の論文集となることが合意された。次年度に具体的な論文執筆に入る予定であり、広く比較政治学への学問的貢献をめざして研究成果の公開に向かって歩みを進めたい。 なお、2013年3月には、本課題につながる研究成果につき、代表者(水島)が損保ジャパン記念財団賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は初年度ではあったが、精力的に研究会の開催、海外渡航による現地資料の収集、出版企画のための準備作業が進められ、最終年度までに論文集を刊行する方向で打ち合わせも進んでいる。おおむね順調に進展していると言ってよい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究活動の最終的な目標は、本研究課題である保守政治に関する論文集の出版である。研究メンバーは担当論文の執筆の準備を開始しているところであるが、論文集企画の打ち合わせにおいて、ヨーロッパのみならず日本の政治との比較の必要性が指摘されたところから、研究会に著名な日本政治研究者の出席を仰ぎ、日欧比較について議論することを、特に2014年度には実現したい。それにより、ヨーロッパ保守比較に新たな座標がもたらされるだろう、。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の将来的な公開をめざし、出版社と交渉したところ、きわめて好意的な反応を得ることができ、具体的な出版計画の策定に今年度はかなりの時間を用いたが、他方で海外渡航が予定したほど多く実施されなかったことから、次年度使用額が生じることとなった。 次年度は資料収集に加え、海外調査を多数行うほか、研究会に外部講師を招いたり、論文集出版のためのうちあわせを行うため、物品費、旅費、謝金などで多くの支出が見込まれる。
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