研究課題/領域番号 |
25285056
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
森 聡 法政大学, 法学部, 教授 (60466729)
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研究分担者 |
青野 利彦 一橋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40507993)
小野澤 透 京都大学, 文学研究科, 准教授 (90271832)
倉科 一希 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (00404856)
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 准教授 (50580776)
中島 琢磨 龍谷大学, 法学部, 准教授 (20380660)
水本 義彦 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (60434065)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 経済と安全保障 / デタント / グローバリゼーション / 国際政治史 |
研究概要 |
1960-1970年代における西側主要先進国の対外政策の立案・決定における経済要因やデタントの経済的起源に係る先行研究(英・和・独)を渉猟したが、実証性の高い研究はまだ少ないことを確認するとともに、以下の課題を特定した。 1.分析の視角をめぐる課題 経済的グローバリゼーション(たとえば貿易や資本の自由化等)が、西側主要先進国の政策ないし政策変化を媒介して、いかにデタントに作用したのかを捉える広い分析視角を背景にした個別事例の検討が必要。とりわけ国際経済秩序や個別の地域内秩序の変容という視点からデタントを捉える可能性を模索すべき。また、個別事例の分析に際しては、いわゆる「政治・外交・軍事」領域と「経済」領域を包含するような、より広い「安全保障」領域を想定したうえで、これら二つの領域が相互に作用しあっていく、場合によっては後者が前者を制約するような動態を分析の中に取り込む必要がある。その際には、経済の趨勢に係わる金融・財政・エネルギー等の諸問題が国内政治の争点と化す現象を捕捉し、「戦略と政治の相克」を問題にする必要がある。 2.分析対象への接近法をめぐる課題 「経済要因の影響」という分析対象への接近法について、次のような「照準」を定める必要がある。①経済要因に関する政策決定者の認識に注目しつつ、財務当局や議会の国際秩序観にも着目する。②一旦決定された政策が実行され、経済要因が作用したために政策が修正されるというフィードバックの過程に注目する。③分析対象国政府ないし指導者が、関係国の経済関係拡大へのインセンティヴを、いかに他の争点とリンクさせながら目的を追求したかという外交過程に注目する。④経済要因が政策の形成を推進した事例の検証と、特定の政策が決定される局面において経済要因が判断に作用した事例の検証とを区別する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、研究計画を踏まえ、まず研究参加者が各自でアメリカおよび西側主要同盟国の対外政策・国防政策と経済的要因との連関について分析ないし頻繁に言及する先行研究を数冊・数本程度みつくろって<先行研究一覧>を作成した。次に、この<一覧>に挙がった文献を研究参加者全員で分担し、担当文献が経済的要因の影響をどう取り扱っているかについて、概要・ポイント、長所・短所などを<批評メモ>にまとめ、これをサーヴェイとして集約した上で、先行研究の分析手法をいかに改善ないし発展させれば西側主要先進国の対外政策を規定する経済要因に接近し分析できるかを全員で検討し、全般的な方法論上の課題を特定できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、アメリカ等の公文書館において、平成25年度の研究において仮説的に措定した分析枠組みに留意しながら、各自で担当テーマに関連する資料を収集し、収集した史料を踏まえた予備的な分析と考察を進め、調査結果の集中検討会議において、研究参加者全員で全体的な分析枠組みと各自の担当研究テーマとの整合性や問題点を点検し、各担当テーマに関してさらに追究すべき課題を洗い出して、最終年度の資料収集に備える。
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次年度の研究費の使用計画 |
本プロジェクトの研究テーマに関する先行研究の文献が当初予想したよりも少なく、その購入費用が少なく済んだため、また、書面の交換によって先行研究と研究課題を十分掘り下げた形で実施でき、検討会を開催せずに済んだので、次年度の使用額が生じた。 平成26年度の研究費と合わせることにより、海外での資料調査費用として活用し、実証性の高い研究に必要な資料の収集費用等にあてる計画である。
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