「中国」をめぐるアイデンティティとナショナリズム

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25285057
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 阿古 智子 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80388842)
• 研究分担者: 石塚 迅 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (00434233) ; 大澤 肇 中部大学, 国際関係学部, 講師 (00469636) ; 山崎 直也 帝京大学, 外国語学部, 准教授 (10404857) ; 王 雪萍 東洋大学, 社会学部, 准教授 (10439234) ; 于 小薇 中部大学, 国際関係学部, 講師 (40553095) ; ヴィッカーズ エドワード 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (50631751) ; 小林 敦子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90195769)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 中国 / ナショナリズム / アイデンティティ / 市民教育 / 法学教育 / 香港 / 台湾 / 法意識

研究実績の概要

本研究では当初、各研究者がそれぞれテーマを設定して研究を進めるだけでなく、合同でアンケート調査や授業観察を行う準備も進めていた。しかし、学校に入り込んでの授業観察や継続的なインタビュー調査は、なかなか実現の見通しが立たなかった。私たちは試行錯誤を重ね、法学教育を通じてアイデンティティとナショナリズムの問題に接近することにし、痴漢冤罪事件を題材に刑事司法のあり方に疑問を投げかけた映画「それでもボクはやっていない」を使い、ワークショップを行うことになった。中国大陸76人、台湾80人、香港51人、日本39人の大学生に映画について議論してもらい、その様子をビデオと録音テープに収めた。学生には自分の家庭環境や学歴、法や政治参加に対する考え方について、簡単なアンケート調査に回答してもらった。2016年1月10日に公開シンポジウムを行い、このワークショップを通して見出したことを、中国、台湾、香港、日本の研究者、教育者、学生が報告した。私たちは本シンポジウムを研究の一環と捉えた。成果を社会に還元するという意味もあるが、私たちの研究に対する意見やアドバイスを、市民の皆さんからいただきたいという思いからである。本研究のメンバーは2015年11月、ドイツにも視察に出かけ、高校や大学を訪れた。そこでは、「暗記型」ではなく、「考え、議論する」教育が幅広く行われていた。知識偏重の傾向が強い東アジアの教育において、ドイツの経験は参考になる。学生が身近な問題を通して、当事者意識を持ちながら司法や政治について考え、自分の関心に応じて政治に参加できるように、また、偏狭な国益意識や排外的なナショナリズムに縛られず、国境を越えた市民社会の形成を展望できるように、教育を改革することが重要である。その歩みを一歩進められるよう、本研究の基礎的な成果を示したいと考えている。

現在までの達成度 (段落)

27年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

27年度が最終年度であるため、記入しない。

次年度使用額が生じた理由

27年度が最終年度であるため、記入しない。

次年度使用額の使用計画

27年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] 現代中国における「公民運動」のポテンシャル―定まらない“公”と“私”のはざまで― (2016)
  • 著者名/発表者名: 阿古智子
  • 雑誌名: 国際問題 巻: 649 ページ: 234-264
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 早稲田大学出身女性教員の職能形成に関する一考察―日本及び中国の女性教員のライフストーリー分析を通じて― (2016)
  • 著者名/発表者名: 新保敦子
  • 雑誌名: 早稲田教育評論 巻: 30-1 ページ: 21-41-
  • 査読あり
• [雑誌論文] 世界的趨勢としての人文社会科学危機 (2016)
  • 著者名/発表者名: Vickers, Edward
  • 雑誌名: 中央公論 巻: 2月号 ページ: 74-81
• [雑誌論文] Why Is China Muzzling Its Lawyers (2016)
  • 著者名/発表者名: Ako, Tomoko
  • 雑誌名: Views on China (The Tokyo Foundation) online 巻: February ページ: -
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 18歳選挙権導入を前に考える――東アジアの市民教育とナショナリズム (2016)
  • 著者名/発表者名: 阿古智子
  • 雑誌名: シノドス（online) 巻: 1月 ページ: -
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 従数位典蔵到数位人文 (2015)
  • 著者名/発表者名: 大澤肇
  • 雑誌名: 興大人文學報 巻: 55 ページ: 101-124
  • 査読あり
• [雑誌論文] グローバル時代における言語教育による子どもの貧困の拡大―中国の農村部及び少数民族地域に焦点を当てて― (2015)
  • 著者名/発表者名: 新保敦子
  • 雑誌名: 日本学習社会学会年報 巻: 11 ページ: 26-30
  • 査読あり
• [雑誌論文] 社会変動下における中国ムスリム女性―マドラサとモスクに焦点を当てて― (2015)
  • 著者名/発表者名: 新保敦子
  • 雑誌名: 東アジア社会教育研究 巻: 20 ページ: 71-81
  • 査読あり
• [雑誌論文] Schooling, Politics and the Construction of Identity in Hong Kong: the “Moral and National Education” Crisis in Historical Context (2015)
  • 著者名/発表者名: Morris, Paul and Vickers, Edward
  • 雑誌名: Comparative Education 巻: 51-3 ページ: 305-326
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] The Abe Statement and the Politics of War Memory in Japan (2015)
  • 著者名/発表者名: Vickers, Edward
  • 雑誌名: University of Nottingham: China Policy Institute Blog (online) 巻: October ページ: -
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 外国人教員から見た日本の大学の奇妙なグローバル化 (2015)
  • 著者名/発表者名: Vickers, Edward
  • 雑誌名: 中央公論 巻: 7月号 ページ: 178-195
• [雑誌論文] Britain’s Approach to Japan and East Asia (2015)
  • 著者名/発表者名: Vickers, Edward and Tim Summers
  • 雑誌名: The Diplomat 巻: 7月 ページ: ー
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 台湾原住民族教育の新動向―「部落学校設立十年計画」についてー (2015)
  • 著者名/発表者名: 山崎直也
  • 雑誌名: 国際教育 巻: 21 ページ: 140-147
• [雑誌論文] 戦後70周年：一個日本人的回想 (2015)
  • 著者名/発表者名: 阿古智子
  • 雑誌名: 端（online) 巻: 8月 ページ: -
  • オープンアクセス
• [学会発表] 中国人日本留学生の再考ー近代から日中国交正常化後にかけてー (2016)
  • 著者名/発表者名: 于小薇
  • 学会等名: 国際シンポジウム「日中韓における共生のシステムと他者受容の思想ー差異を超えつなぐ日中韓の平和構築」
  • 発表場所: 中部大学（愛知県春日井市）
  • 年月日: 2016-03-29 – 2016-03-29
• [学会発表] 東アジアの大学教員は『それでもボクはやってない』をどう観せたか？―日本― (2016)
  • 著者名/発表者名: 石塚迅
  • 学会等名: 市民公開・国際シンポジウム「映画『それでもボクはやってない』海をわたる！～東アジアの法教育と大学生の法意識」
  • 発表場所: 東京大学（東京都目黒区）
  • 年月日: 2016-01-10 – 2016-01-10
• [学会発表] アンケート分析「東アジア大学生の法意識を探る」 (2016)
  • 著者名/発表者名: 阿古智子
  • 学会等名: 市民公開・国際シンポジウム「映画『それでもボクはやってない』海をわたる！～東アジアの法教育と大学生の法意識」
  • 発表場所: 東京大学（東京都目黒区）
  • 年月日: 2016-01-10 – 2016-01-10
• [学会発表] 建国初期華東地区的教師群体構成：以上海輿松江為中心 (2015)
  • 著者名/発表者名: 大澤肇
  • 学会等名: 第５届 中国当代史研究工作坊
  • 発表場所: 京都大学（京都府京都市）
  • 年月日: 2015-12-06 – 2015-12-07
• [学会発表] 習近平体制下の中国政治・社会・対外関係 (2015)
  • 著者名/発表者名: 阿古智子
  • 学会等名: 現代中国学会
  • 発表場所: 同志社大学（京都府京都市）
  • 年月日: 2015-10-24 – 2015-10-25
• [学会発表] マカオ大学における住宿式書院制に関する初歩的考察―両岸四地の比較を通じて― (2015)
  • 著者名/発表者名: 山崎直也
  • 学会等名: アジア教育学会第10回大会
  • 発表場所: 有明教育芸術短期大学（東京都江東区）
  • 年月日: 2015-10-24 – 2015-10-24
• [学会発表] Intermixing Imaginations: The Perception of East Asia by Japan,China, and its Neighboring Ethnicities (2015)
  • 著者名/発表者名: 新保敦子
  • 学会等名: 22nd International Congress of Historical Sciences CISC
  • 発表場所: 山東ホテル（中国山東省）
  • 年月日: 2015-08-28 – 2015-08-28
  • 招待講演
• [学会発表] 台湾の大学におけるレジデンシャル・カレッジ・システムの導入と定着―国立政治大学における「書院法制化」をめぐる論議を中心に― (2015)
  • 著者名/発表者名: 山崎直也
  • 学会等名: 日本比較教育学会
  • 発表場所: 宇都宮大学（栃木県宇都宮市）
  • 年月日: 2015-06-12 – 2015-06-14
• [学会発表] 比較教育学における北東アジア地域研究の確立は必要／可能か？ (2015)
  • 著者名/発表者名: 山崎直也
  • 学会等名: 比較教育学会
  • 発表場所: 宇都宮大学（栃木県宇都宮市）
  • 年月日: 2015-06-12 – 2015-06-13
• [学会発表] School Education, Political Ideology and Social Mobility: A Comparative Study of 1950's Mainland China and Taiwan (2015)
  • 著者名/発表者名: 大澤肇
  • 学会等名: Harvard Yenching Institute Lunch Talk Series
  • 発表場所: ハーバード大学（米国マサチューセッツ州）
  • 年月日: 2015-04-24 – 2015-04-24
• [図書] 「中国における「法治」――葛藤する人権派弁護士と市民社会の行方」『中国リベラリスムの政治空間』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 阿古智子（石井知章、緒形康編著）
  • 総ページ数: 352（36-48）
  • 出版者: 勉誠出版
• [図書] 「廖承志与中国的対日民間外交」『対立与共存的歴史認識――日中関係150年』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 王雪萍（劉傑・川島真編）
  • 総ページ数: 501（399－433）
  • 出版者: 社会科学文献出版社
• [図書] 「教育・歴史教科書問題」『歴史問題ハンドブック』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 王雪萍（東郷和彦・波多野澄雄編）
  • 総ページ数: 288（92－101）
  • 出版者: 岩波書店
• [図書] 大里浩秋・孫安石編『近現代中国人留学生の諸相――「管理」と「交流」を中心に』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 王雪萍（大里浩秋・孫安石編）
  • 総ページ数: 642（205-244）
  • 出版者: 御茶ノ水書房
• [図書] 跨越彊界：留学生与新華僑 (2015)
  • 著者名/発表者名: 廖赤陽主編、李恩民、王雪萍副主編
  • 総ページ数: 400
  • 出版者: 社会科学文献出版社
• [備考] 18歳選挙権導入を前に考える――東アジアの市民教育とナショナリズム
  • URL: http://synodos.jp/international/15866