研究課題/領域番号 |
25285059
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松島 斉 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00209545)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メカニズムデザイン / ゲーム理論 / オークション / 実験経済学 / 情報の経済学 / 繰り返しゲーム / 行動経済学 / 労働マッチング |
研究実績の概要 |
オークション理論について、効率的な配分達成、収入最大化、複雑な取引におけるプロトコルの設定、などについて、理論、実験、実証、歴史研究を継続した。オークション前に投資決定をする設定において、効率的な配分が達成される可能性について、野田俊也(スタンフォード大学院生)と理論研究を進展させた。これは今年度からスタートさせたプロジェクトである。VCGオークションの実験について、照山博司(京都大学)との共同で、論文執筆をすすめた。コアな貢献部分は今年度に発見された。安田洋祐(大阪大学)、尾山大輔(東京大学)、柳川範之(東京大学)、久保田昌幸(東大院生)と共同で、大阪大学のラボで、組み合わせオークションの実験をおこなった。 金融システムの不安定性についての論文を改定した。花木伸行(マルセーユ大学)、前川淳(東大)と共同で、パイロット実験をマルセーユでおこない、その結果検証をおこなった。次のパイロット実験の準備と計画を完成させた。 照山博司氏(京都大学)および遠山智久(工学院大学)と共同で、労働マッチング繰り返しゲームの実験計画およびプログラムを作成した。これは私の1990年の理論研究をたたき台にしたものである。 萱場豊(東京大学)、遠山智久(工学院大学)と共同で、不完全私的モニタリングの繰り返しゲームの実験論文を改定し、継続中である。 メカニズムデザイン実行可能性問題について、二論文の執筆を開始し、セミナーなどをおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金融システムの不安定性にかんする実験計画がおくれていたが、新しいネットワークのモデルを実験する案が確立したため、おおむね順調にすすんだといえる。 実行可能性問題の新しい理論論文に着手することができ、おおきな進展である。この分野は私は切り開いたものであり、世界に大きなインパクトをもたらす可能性がある。 不完全モニタリングの実験研究は長い時間のかかっているプロジェクトである。その中途の成果はDPで公表済みだが、近年の当該分野では世界的にベンチマークと評価されてきている。完成が遅れているので、来年度の完成を目指す。 照山博司氏との共同でおこなっている労働市場の実験研究は、1990年に私が執筆した繰り返しゲームの理論論文をベースにデザインすることとなり、この科研費における重要なリサーチであることがわかってきた。この点において大きな進展があり、順調といえる。 組み合わせオークションの実験については、先行論文との違いを明確にすることが難航している。しかし、照山氏との共同では、被験者のVCGオークションにおける行動について、今までに指摘されたことのないパターンを発見できた。現在このポイントをメインとする論文を執筆中である。 オークションとメカニズムデザインについての理論論文は、まだ改定する必要があり、今年度おこなった。
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今後の研究の推進方策 |
今までと同様に、理論、実験論文の執筆、改定、投稿、実験計画作成、実施、データ解析、論文作成をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていた実験が繰り越しになったため、本年度この予算を実験に使うこととした。実験計画を確定するのに時間がかかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
労働マッチングおよび金融システムについての実験の遂行をおこなう。そのための実験補助、被験者謝金などに利用する。
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