研究課題/領域番号 |
25285063
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大垣 昌夫 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (90566879)
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研究分担者 |
窪田 康平 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (20587844)
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
大沼 あゆみ 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60203874)
亀坂 安紀子 青山学院大学, 経営学部, 教授 (70276666)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 行動経済学 / ミクロ経済学 / マクロ経済学 / 環境経済学 |
研究実績の概要 |
本課題では道徳的美徳の獲得と美徳により共同体に貢献することを重視する徳倫理を行動経済学に導入して政策を評価する研究を理論と実証の両面から進めている。 理論面の研究では、政策評価の理論的基礎となる2本の論文のうち、1本の論文は学会発表などで得たコメントをもとに論文を改訂し、学術誌に投稿した。この論文では道徳評価関数を導入して社会状態の規範経済学的評価を行うことを提唱した。さらに、経済学で広く用いられている社会的厚生関数による厚生主義に基づいた評価と徳倫理を用いた評価をバランスさせるため、2つの関数の加重平均として社会目的関数を定義した。この、論文は学術誌に掲載が確定した。この論文では徳倫理を内生的利他主義経済モデルに応用するための「利他主義の道徳的美徳基準」を定義し,道徳評価関数が満たすべき基準を明らかにした。さらに徳倫理と経済学で従来広く使われてきた厚生主義をバランスさせて評価するため、従来の経済学で広く用いられてきた弱パレート基準とこの利他主義の道徳的美徳基準を修正し、他の倫理的な要因との競合が起こらないときにのみ、これらの基準で社会状態を評価できると基準を定義した。これらの修正された基準が社会目的価関数の満たすべき条件である。 実証面の研究では、マレーシアでインターネットによるアンケート調査を行い、1000人のデータを収集した。上記の理論研究で応用例として用いたタフ・ラブ異世代間利他主義モデルや、理論を応用できるさまざまな共同体レベルでの利他主義モデルや環境保護行動モデルについての実証研究に用いることのできるデータが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実証分析に基づいた理論モデルの構築・改善と新しい政策評価の理論的フレームワークお構築は予定通りに順調に進んでいる。 既存のデータの実証分析について、アンケート調査のデータを用いた分析と、フィールド実験のデータを用いた地分析は、おおむね順調に進展している。fMRIを用いた実験データに関しては予定よりも分析が遅れている。 本課題で新たに収集るすデータについて、おおむね順調に進んでおり、マレーシアで環境保護行動の質問への回答を含むデータが収集できた。
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今後の研究の推進方策 |
特に新しく収集したマレーシアのデータを中心に分析を行い、分析結果を参考にした理論モデルと政策評価の新しい理論フレームワークの研究をさらに発展させていく。マレーシアのデータでは環境保護行動のデータを得たので、仏教徒、イスラム教徒、キリスト教徒、また先住民の華僑の世界観の違いに注目して環境保護行動の研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
香港でのアンケート調査を予定していたが、調査を委託する予定のCity University of Hong KongのStatistical Consulting Unit と調査の詳細に関する打ち合わせに予想以上の時間がかかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
世界観の利他的行動への影響のため、香港でのさまざまな外国人のグループを中心にアンケート調査を実施する計画である。
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