研究課題/領域番号 |
25285075
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿部 顕三 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00175902)
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研究分担者 |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際経済学 / 国際輸送 |
研究実績の概要 |
本年度は、国際輸送セクターの市場制度設計に関する研究に関して、次の研究課題について分析を行った。 第1に、2013年度に実施したフィールド実験・調査のデータを用いて、船舶解体にともなう環境汚染が発生する地域に住む住民の環境意識に影響を与える要因の分析を行ない、研究成果を論文として公刊した。ただし、この分析はまだ予備的分析の域であり、今後さらにすべてのデータを用いた分析を完成させる予定である。 第2に、国際海運市場と競争法適用に関する理論のサーベイを行い、現実の国際海運市場に適合する新しい理論モデルを構築した。そのうえで、海運企業のアライアンスが価格や過剰投資の程度に与える影響について分析した。さらに、競争法を適用が適用された場合に、価格や投資がどのような影響を受けるかについて分析を行った。この分析結果については、学会で報告を行った。 第3に、貿易取引に伴う国際輸送から環境汚染が発生するような国際寡占モデルを用いて、協調的な環境規制の水準に応じて望ましい貿易政策がどのように変化するのかについて理論的に分析した。さらに、貿易の自由化の進展とともに、国家間の協調的な環境規制の必要性がどのように変化するのかについても理論分析を行った。この研究成果は、査読付き雑誌に論文として公刊された。ただし、この分析では国際輸送に付随して必要となる国内輸送からの環境汚染を無視しており、今後はその点も考慮しながら分析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論分析、およびフィールド調査の分析はほぼ順調に進展している。ただし、海運市場における企業行動を分析するための実験室実験の進行はやや遅れているが、全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は理論分析および実験分析について、以下のように研究を推進する予定である。 まず、理論分析については、第1に、本年度の研究結果を踏まえたうえで、海運企業のアライアンスの有無が、同一航路を運航する企業間の共謀の成立の可能性に影響を与えるかどうかを明らかにする。また、航路の始点と終点とが異なるため、どちらの法・ルールをどのように適用すべきかという点に着目し、望ましい国際ルールを考察する。第2に、国際輸送とそれに付随する国内輸送からそれぞれ環境汚染が発生するようなモデルを構築し、望ましい貿易政策と環境政策のあり方について分析を進める。 また、実験室実験については現在実験モデルの構築に取り組んでおり、今年度中に当初目標としていた実験を実施・完了できる予定である。 それぞれの研究成果は、国内外のコンファレンスや学会等で報告する予定である。また、研究成果をディスカッション・ペーパーにまとめ、査読付き国際学術雑誌への出版を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、国際輸送企業の行動および国際輸送市場に関する研究を行うため、実態調査、理論分析、および経済実験を行うこととしていた。このうち理論分析と経済実験に関して若干の研究の遅れがあり、コンファレンスや学会での報告のための旅費や経済実験のための経費を支出することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、引き続き国際輸送企業の行動および国際輸送市場に関する研究を行うため、理論分析および経済実験を行う予定である。次年度使用額については、コンファレンスや学会への参加なども増やし、そのための国内旅費・海外旅費として使用する予定である。また、経済実験を行うための諸経費へも支出する予定である。
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