研究課題/領域番号 |
25285079
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
川端 康 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50308839)
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研究分担者 |
柳瀬 明彦 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10322992)
寳多 康弘 南山大学, 総合政策学部, 教授 (60327137)
倉田 洋 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (60411245)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経済政策 / 国際経済学 / 国際貿易 / 地域貿易協定 / 基準認証制度 |
研究実績の概要 |
本研究は、国や地域によって異なる基準認証制度のハーモナイゼーション(調和)を含んだ地域貿易協定に関する理論的考察を行うものである。平成27年度において、海外査読誌から改訂する機会を与えられた論文[1]“Standards and Trade: Multilateralism versus Regionalism”を、研究代表者、分担者の全員の協力によって修正を行い、再投稿した。論文[1]では、消費の負の外部性のある3国モデルを用いて、内国民待遇であるにもかかわらず、基準の多角的な調和は必ずしも安定的ではないことを明らかにしている。また、分担者の柳瀬と倉田が、論文[2]“Domestic Product Standards and Free Trade Agreements”を国内外の学会・研究会で報告した。論文[2]では、FTAの締結によって加盟国はより厳しい基準を選ぶようになること、FTA加盟国間で基準の調和を行うとFTA締結からの利益が増加することなどを示している。さらに、論文[3]“Welfare Implications of Free Trade Agreements under Bertrand and Cournot Competition with Product Differentiation”と論文[4]“Endogenous Formation of Free Trade Agreements in Vertically Related Markets”が、それぞれ海外査読誌のInternational EconomicsとResearch in Economicsに掲載された。論文[3]は、研究代表者の川端と分担者の寳多が担当し、ベルトラン競争の場合、FTAは多角的貿易自由化を支持する非加盟国のインセンティブを損なうかもしれないと論じている。論文[4]は、代表者の川端が担当し、垂直的貿易構造が存在するときに、多角的自由貿易がFTA形成ゲームの一意の安定的な均衡となることを明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外査読誌から改訂する機会を与えられた論文については、研究代表者、分担者の全員によって修正し、再投稿した。審査結果として、更なる改訂を求められた。研究代表者、分担者の全員が自分の担当した論文を国内外の学会・研究会で報告した。また、地域貿易協定に関する論文2編(研究代表者の川端と分担者の寳多による共著論文、川端による単著論文)が、海外査読誌に掲載された。したがって、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
異質性を考慮した基準認証制度のハーモナイゼーション(調和)については、研究代表者の川端と研究分担者の寳多が担当し(チーム1)、基準認証制度を含めた地域貿易協定については、分担者の柳瀬と倉田が担当する(チーム2)。平成28年度には、両チームの研究成果を統合して、異質性を考慮した基準と関税を含めた地域貿易協定の理論分析も行う。各チームともに、文献調査・実態調査に基づき、理論モデルを構築し、分析を行う。分析結果について、チーム内・チーム間で適宜ディスカッションを行い、学術論文の形にまとめる。また、「基準認証制度と地域貿易協定に関する研究会」を開催し、研究の方向性・発展性について多面的に検討する。研究成果は、国内外の学会・研究会で報告し、国内外の学術誌へ投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の倉田が、昨年度末にインフルエンザに罹患したことにより、出張が急遽取り止めになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者の倉田が、University of British Columbiaの研究会に研究成果の報告に行くことで使用する予定である。
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