研究課題/領域番号 |
25285087
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
藤井 英次 関西学院大学, 経済学部, 教授 (20321961)
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研究分担者 |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
松枝 法道 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40330394)
藤原 憲二 関西学院大学, 経済学部, 教授 (50434882)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 市場統合 / グローバリゼーション / 経済厚生 |
研究実績の概要 |
現在進行中の所謂経済のグローバル化は、情報技術革新や輸送技術の飛躍的向上に加え、各国政府の能動的・積極的な関わりや主体的役割において過去のグローバル化とは異なるとしばしば指摘される。例えば頻繁にメディアにも取り上げられる包括的経済連携協定をめぐっては、政府が能動的に経済のグローバル化、つまり市場のボーダーレス化を推進している証のようにも捉えることもできる。しかしその一方で、各国政府は様々な規制ツールを使いながら一部の国内部門を保護しつつ対外交渉を進め、グローバル化の名の下に資源配分の当事者としての自らの役割を市場に対して手放すようには見えない。経済学者の間にも政府と市場が相互に及ぼす影響や果たす役割についての確固たる共通認識や理解が存在するわけではない。 上記のような問題意識の下、研究代表者・分担者はグローバル化の本質は「市場か、政府か」という伝統的視点では捉えきれないという動機からスタートし、グローバル化プロセスにおける金融・貿易・資源・環境など広範な領域で繰り広げられる政府と市場の相互作用について、特にその逆説的関係と政策効果の存在に着目した理論的・実証的分析に取り組んできた。その結果、一部ではこれまでの既存研究の知見とは異なる結果が得られつつある。これらは今後更なる分析と議論を積み重ねることで経済のグローバル化プロセスにおける政府と市場の関係をより正確に理解するための礎になり得るものと考える。研究代表者・分担者は関連する研究途中成果を2014年度に欧州で開催されたの2つの国際学会で報告し、査読付き国際学術誌三誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、分担者共に、既存研究のサーベイをベースとした準備的研究を終えて独自の視点を据えた理論・実証分析に着手しており、その成果の一部はワーキングペーパーや査読付き学術誌への投稿という形で具象化しつつある。これらはいずれもまだ研究の全容を物語るものではないが、途中成果として研究計画全体が概ね順調に進んでいる事を示していると考えてよい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は各研究者による独自の視点を据えた理論・実証分析を本格化させ、一層の推進を図るとともに、積極的に内外の専門家・研究者と研究途中成果を交換するなどして研究の質を点検し、その向上に努める予定である。 具体的方策の一つとして、今秋に国内の有力研究者、海外の専門家を関西学院大学に招いて国際学術ワークショップを開催する。途中成果を元に議論や研究交流を行い、外部の研究者・専門家による評価や提言を仰ぐことで、質的に国際水準を保った研究成果を達成すべく計画を前進させたい。また、研究成果を順次ワーキングペーパーにまとめて積極的に発信し、査読付き国際学術誌への投稿やそれに向けた準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に国内外から研究者・専門家を招いて国際学術ワークショップを開催し、交流を図ることで途中成果についての評価や提言を受けるなどして研究の質を高めることが望ましいと判断した。これを実現するには大規模な旅費・謝金等の支出が必要となるため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年秋に国内外の有力研究者を関西学院大学に招いて国際学術ワークショップを開催するに当たり、旅費、謝金、会場使用料等として使用する。また、予算の許す範囲で他の国際学術集会にも積極的に参加して研究成果を発信する予定で、それに伴う旅費としても使用が見込まれる。
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