研究課題
本研究では、予防ワクチンの接種行動について経済学的見地から分析し、その対策の有用性について検討することを目的とし分析を進めた。予防ワクチンの接種は公共財的な性質を備えており、接種行動は公共財の自発的供給の一種と考えることができる。本研究ではワクチン接種に対する価格差以外の要因として、特にpeer effects(同僚間相互効果)に着目し理論的・実証的に分析を行った。実証分析では、ある市(匿名)のワクチン接種記録の個票データの利用の準備を進めた。さらに、その個票データに加えアンケート調査の準備も進めた。匿名のある市のデータでは住所の情報を利用し、本人を除いた集落内の接種率を作成し、集落内の本人以外の接種率(周りの接種率)が本人の接種率に影響があるかを分析した。分析結果は周りの接種率は本人の接種率にプラスに影響を与えるという結果になった。その他の変数に関しては、接種率は年齢とともに上昇するが接種率の上昇率は年齢とともに低下する。性別に関しては女性が男性より接種率が高いという結果になっている。また内生性への対処として離婚や死別を同居者の接種率の変化の外生的なショックと見なして操作変数法などを用いながら分析も行った。分析結果は離婚や死別による同居者の接種率の低下は本人の接種率を低下させるという結果になっている。これらの結果はワクチン接種に関してpeer effectsを示唆するものと解釈することも可能である。アンケート調査に関しては、2014年9月に調査会社を通じて予防接種状況に関するインターネット調査を実施し1000人からの回答を得た。実施したアンケート調査では、65歳でおこるインフルエンザワクチン費用に関する制度的な非連続を利用してpeer effectsがワクチン接種を因果の影響が分析できるように調査を設計し分析を行った。それらの結果をもとに学術誌への投稿の準備を進めている。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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