本年度は最終年度であることもあり、これまでの研究成果を発信することに力を注いだ。まず、既存の学術分野を跨る「貧困研究」の成果として、公開シンポジウム(「子どもの貧困と「食」格差:政策は何ができるか」2016年12月14日)を開催した。本シンポジウムは、121名の参加があり、官公庁21名、大学・研究者25名、報道9名など幅広い人々の参加を得ることができた。また、本ニュースメディアにも紹介された。 また、4年間のユニセフ・イノチェンティ研究所との共同研究成果を発表するために、ユニセフ・イノチェンティ研究所との共同で英文書籍を執筆した(Oxford University Pressより 2017年4月刊行)。さらに、本プロジェクトですでに発表している3巻の「先進諸国の子どものWell-beingレポートカード」報告書に続いて、4巻目となる「レポートカード14」のための分析を行い、これは2017年6月に発表される。 日本における研究成果の発表としては、『子どもの「食」格差』と題する書籍の執筆を進めており、これは2017年夏ごろ刊行予定である。 本プロジェクトにて運営している「貧困統計ホームページ」は、引き続き、高い関心をもたれており、2016年度のみで総アクセス数は15万件であり延べアクセス人数は7.7万人となっている。本年度は特に、各自治体が子どもの貧困に関する実態調査を実施・計画しており、日本全国の自治体から本ホームページを通してアクセスがあった。それに対応するために「自治体による子どもの貧困実態調査の方法」としたページを別に設け、社会調査の学術的ノウハウを一般行政にも還元できるようにした。すでに、東京都始め十数件の自治体から問い合わせ・相談を受けている。
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