研究課題/領域番号 |
25285110
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
平本 健太 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00238388)
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研究分担者 |
阿部 智和 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20452857)
坂川 裕司 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40301965)
宇田 忠司 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80431378)
小島 廣光 椙山女学園大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80093029)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コワーキング / 場 / 主体 / 関係性 |
研究実績の概要 |
本年度は,4年計画の3年目に当たる年であった.本年度の研究実績として,以下をあげることができる.業績リストに示すとおり,本年度は合計で4篇の研究成果を公表した. 第1に,昨年度に実施した質問票調査によって収集されたデータのいっそう詳細な分析が試みられた.すなわち,サーヴェイを中心に,関連する先行研究を整理・検討した.次いで,国内で稼動しているスペースのほぼ全数に対して実施したわれわれの質問票調査の結果を,6つ(①施設,②運営組織,③戦略,④活動,⑤利用者,⑥成果)のパートに分けて記述する。そのうえで,先行研究の知見との比較を行いながら本論文の知見について考察した.まず,コワーキングに関する世界規模の年次調査であるGlobal Coworking Surveyを中心に,関連する先行研究を整理・検討した.次いで,国内で稼動しているスペースのほぼ全数に対して質問票調査を実施した.さらに,場の開放性とメンバーの多様性が期待されるドロップイン利用が可能なスペースに着目し,①施設,②運営組織,③戦略,④活動,⑤利用者,⑥成果という6つの視点から相関分析の結果を示した.くわえて,質問票調査の自由記述項目の詳細な検討を行い,コワーキングスペースにおける関係性に関する考察を深めた.以上のステップによって,コワーキングスペースの実態に関する概観的な知見を提示した. 第2に,コワーキングスペースの運営プロセスに関する詳細な事例研究が行われた.聞き取り調査および公表資料をもとに,コワーキングスペースの運営プロセスの記述を試みた.具体的には,2012年12月に開設され,国内最大規模の利用者を誇るコワーキングスペース7F(さいたま市大宮区)という場の運営過程について,前史,揺籃期,確立期,転換期という4つのフェーズに分けて詳述した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度の研究計画に掲げられていた,コワーキングスペースを対象とするより詳細な定量的分析を実施し,分析結果を4篇の論文として公表した.また,共同研究者のひとりによって,コワーキングと共通性を有する活動であるまちおこしに関する組織活動に関する事例研究も実施され,コワーキング研究に関する周辺的な知見の深化も達成された.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,研究計画の最終年度にあたり,過去3年間に実施した諸研究(大規模サーヴェイ調査,聴き取り調査,コワーキングスペースの視察,北海道経済産業局との連携により開催したコワーキング関係のミーティング)の結果を踏まえて,以下の課題に取り組む予定である.1)最終年度に予定されている定点調査としての大規模サーベイ調査の再実施,2)精緻化された研究枠組にもとづく研究成果の取りまとめ,3)1)および2)にもとづく研究成果の学会報告および論文としての発表等である.
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費および人件費・謝金が当初見積もっていた金額よりも少なかったことが主たる理由である.人件費・謝金については,質問票調査のデータ整理,聴き取り調査の1次データの整理等にかかる費用を計上していた.種々の工夫によって,これらに関する費用を抑えることができた.旅費については,可能な場面においてはパッケージツアー等の利用につとめた結果,当初の計上額を下回ったものと考えられる.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は,複数回の海外調査等を計画している.研究計画策定時(研究計画調書作成した時点)と較べると円安が進行しており,このため海外調査に係る経費(航空券,宿泊費,現地滞在費,交通費等)が割高になっている.したがって,当初の計画よりも高額な費用が見込まれる.このような理由によって,適切な支出が可能であると考える.
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