研究課題
2015年度は、前年に実施したバイオサーベイ調査の解析を基に、論文へのとりまとめを実施した。具体的には、企業に勤務する40歳以上の男性社員を対象に、人生の満足感と健康状態を測定するバイオマーカーとの関係性を検証した。これまでの研究知見では、一概に人生満足感といっても、個人の欲求を満たすという意味での快楽的(Hedonic)な満足感と、社会への貢献や人生における自己の意味といった人生の意義的(Eudaimonic)な満足感とでは、個人の健康状態に異なる影響を及ぼすことが指摘されている。しかし、これまでの研究は主に欧米の被験者を対象にしたものであり、日本の文脈において同様の結果を検討したものはなかった。加えて、本研究は企業で働く社員に焦点を当てており、このようなアプローチをとった先行研究もほとんど存在しない。結果として、日本の企業という文脈においてもこれまでの先行研究と一貫した傾向が見られた。すなわち、快楽的な人生満足感は健康状態にネガティブな影響を示した一方で、意義的な人生満足感はポジティブな影響を示した。この知見は、論文にまとめ現在心理学系の国際ジャーナルに投稿中である。さらに、本研究ではバイオサーベイの他に、日系企業と外資系企業といった職場環境の違いが職場満足に異なる影響を及ぼすという点を文化心理学の知見を援用して検証している。これまで研究知見を国際学会および国内学会で発表を行ってきたが、現在論文にとりまとめている。こちらについては、経営学系の国際ジャーナルに投稿予定である。また、個人の主観的感情と健康に関する大規模調査MIDJAおよびMIDUSのデータを用いた検証も合わせて実施しており、これについては2015年度に心理学系の論文にて1本が掲載され、他2本が現時点で掲載が確定している。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 5件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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