研究実績の概要 |
本研究の目的は,企業不祥事を防止するための「日本型コンプライアンスモデルのダイナミズム」を,日本企業を対象とした詳細な定性的・定量的調査にもとづき,実証的に解明することである.その際,欧 米を中心とした企業倫理研究に関する知見を踏まえつつも,日本企業の特徴を考慮し,日本型コンプライ アンスモデルの構築のみならず,その形成要因,さらに,企業不祥事防止の効果,限界にも注目することで,日本型コンプライアンスモデルのダイナミズムの解明を試みることであった。 研究の最終年度に当り,企業倫理やコンプライアンスに関する文献の渉猟を引き続き行い,「同僚の倫理的行動が個人の倫理的行動に影響を与える」ことと,「行動規範の受容が個人の倫理的行動に影響を与える」ことという仮説について,引き続き検証作業を行った。6月には,東北大学で行われた日本経営倫理学会において,研究成果の一端を発表した。また,8月には,米国の企業倫理学会と経営学会に参加し,導出した仮説について意見交換を行い,また,シンガポールの日系企業に訪問調査を行い,仮説の妥当性について検証作業を行った。9月には,北海学園大学で開催された経営哲学学会において,全員で「企業不祥事にどう対応 するのか?」というセッションで研究成果の発表を行い,結論の精緻化を図った。 その後,研究成果の一部を英訳し,紀要論文として公表するとともに,さらに,内容の精緻化を図った上で,米国企業倫理学会に報告するために投稿を行っている。
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