研究課題
本研究の目的は、日本企業の収益創造と成長性のあり方について、経営戦略論とコーポレートガバナンス論を理論的基盤として考察を行うことにある。バブル崩壊後、日本企業の収益創造力と成長性は低調であった。その要因として、企業の戦略とガバナンスに関する構造的な問題を指摘することができる。我々は、それらの問題を克服するヒントとして、高い収益創造力と成長性を実現している北欧企業、特にスウェーデンの国際的な企業に注目することにした。昨年度は、スウェーデン企業のグローバル戦略や人材育成制度、コアバリューと成長指標などを解明することによって、日本企業の収益創造と成長性に対する理論的および実践的示唆を提示した。今年度は、コーポレートガバナンスやクロスボーダーM&Aという視点で、調査を進めた。また、調査対象については、発祥はスウェーデンであるが、現在はスウェーデン以外に本社を置く企業をも含めた調査を実施した。具体的には、エレクトロラックス、アクゾノーベル、ABB、BTなどである。これらの企業に対する調査の結果、長期的な視野に基づく経営を可能にするコーポレートガバナンスの特徴、企業買収後の事業統合のプロセス、経営トップの選任や牽制の仕方、スウェーデン企業と他地域の企業の経営の親和性などについて考察を行った。なお、コーポレートガバナンスの問題は、各国の法・制度面とも密接に関連するものである。本研究では、上記のような実態面に関する調査を進めるとともに、国内における数少ないスウェーデンの会社法に関わる専門家(高崎経済大学経済学部・尾形祥准教授)を招き、研究会も実施した。同国の会社法の成立から現在にいたるまでを説明いただくとともに、その特徴といった法・制度面と我々が蓄積してきた実態面に関わる発見事実のかかわり合いについて議論した。こうした取り組みにより、本研究はより深化を遂げたものと考える。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nagoya City University,The Society of Economics, Disscussion paper
巻: 607 ページ: 1-17
時局
巻: 4月号 ページ: 32-33
名古屋市立大学経済学会ディスカッション・ペーパー
巻: 606 ページ: 1-10
季刊ひょうご経済
巻: 126 ページ: 6-9