研究課題/領域番号 |
25285132
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高嶋 克義 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30197090)
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研究分担者 |
平野 光俊 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10346281)
南 知惠子 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90254234)
松尾 睦 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20268593)
西村 順二 甲南大学, 経営学部, 教授 (60198504)
小宮 一高 香川大学, 経済学部, 教授 (90335836)
金 昌柱 立命館大学, 経営学部, 准教授 (40580501)
徐 恩之 福山平成大学, 経営学部, 講師 (00638421)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小売業 / 仕入活動 / プロセス革命 / マーチャンダイジング / 内部組織 / 企業間関係 / 情報化 / サプライチェーン |
研究概要 |
平成25年度においては小売企業における仕入プロセス革新について,セブン-イレブン・ジャパン,コープさっぽろ,ハニーズ,カンペール(フォルメントール)などの国内外の小売企業やアパレル専門店チェーン企業などの事例研究を実施した。その研究成果は,高嶋・関(2014),坂川・小宮(2013),Minami and Nishioka(2013),西村(2013)などの論文として公表された。 そして,これらの事例研究を通じて,競争優位を構築している小売企業においては,グローバルに展開するサプライチェーン・システムのもとで、調達先、本社、小売店舗間のネットワークにおける関係管理が行われていることや,製品企画開発および各小売店舗の仕入れ活動に関して本社主導が行われ,仕入れ活動プロセスや店舗運営方式、マーチャンダイジングの標準化の程度が高く維持されることが明らかにされた。 また,この事例研究と並行して、プロセス革新と企業間関係、組織的要因とを関連付ける理論的フレームワークの構築と実証研究が行われた。例えば,高嶋(2013)では,プロセス革新と企業間関係との関連性についての研究として,小売企業の組織構造が集権的な組織になるほど,取引行為の予測可能性が高まり,卸売企業や製造企業などが個別適応的な商品企画や販促企画の提案を行う傾向にあるという理論的仮説を取引費用の視点から導き,検証を行った。 さらに,平野(2014)では,プロセス革新と内部組織との関連性に関して,正社員,非正規社員,限定正社員の三層労働市場モデルに基づく理論的フレームワークを検討したうえで,小売企業の従業員に対する質問票調査とインタビュー調査によるデータに基づき,正社員と非正規の間に両者を緩衝する限定正社員の雇用区分が設けられることで,転換の壁が低くなり,小売業のプロセス革新を促す可能性を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初,平成26年度において予定されていた理論的フレームワークに基づいて作業仮説を導出すること,および,その作業仮説を質問票調査などによる定量的なデータに基づいて検証する作業は,企業間関係と内部組織的要因の両方の側面から,計画よりも先行する形で部分的に実施することができたことと,平成25年度における研究の成果が,海外の査読雑誌に掲載,あるいは,次年度において掲載予定となり,研究成果の海外への発信という点での実績が積み上がりつつあるため,当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,平成25年度から引き続いて事例研究を実施しながら、25年度に先行的に実施されている理論的フレームワークからの作業仮説の導出と定量的なデータに基づく検証をさらに進める方針である。具体的には,これまでに検討された取引費用などの基礎理論から導かれる理論的フレームワークに基づいて、小売企業の仕入活動におけるプロセス革新が企業間関係と内部組織的要因によって相互に規定されるという仮説の検証に取り組むことになる。 また,本研究課題の研究成果を国内外に発信していくことは、学界や小売業において重要な意味を持つと期待されるため,平成26年度には,25年度に引き続いて,積極的に国内外の雑誌や学会において研究成果を公表していく方針である。 以上の推進方策は,当初の研究計画の内容からの基本的な変更はないと考えるが,近年の労働制度に関する環境変化に基づき,三層労働市場モデルなどの新たな視点をプロセス革新に影響する内部組織的要因に取り入れることが必要となっている。ただし,この点については,すでに25年度においても理論的検討および仮説の導出・検証を始める形で対応ができており,研究計画遂行における問題とはなっていない。その他の点についても,研究を遂行する上での課題はないと判断される。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度実施予定の事例研究の一部が調査対象企業の事情により26年度の実施となったため,その実施費用を25年度から26年度に移行させる必要性が生じた。 平成25年度実施予定であった事例研究の一部を平成26年度において行うため,事例研究に要する旅費として使用する計画である。
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