研究課題/領域番号 |
25285135
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
守口 剛 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (70298066)
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研究分担者 |
竹村 和久 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10212028)
外川 拓 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (10636848)
須永 努 関西学院大学, 商学部, 教授 (20438914)
阿部 周造 横浜国立大学, その他の研究科, 名誉教授 (30060015)
奥瀬 喜之 専修大学, 商学部, 教授 (30312440)
八島 明朗 専修大学, 商学部, 准教授 (30583223)
石井 裕明 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (50548716)
恩藏 直人 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (70194652)
阿部 誠 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70302677)
石田 大典 帝京大学, 経済学部, 助教 (80507872)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 解釈レベル理論 / 選好逆転 / 消費者意思決定 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、各研究チームに分かれ、解釈レベル理論を中心とする消費者行動の実証研究を進めた。 前半では、前年度に実施をした調査のデータ分析と研究発表を中心に行った。主に、マーケティング論、社会心理学、行動経済学観点から実証研究を行い、各領域の関連学会にて研究成果を発表した。例えば、マーケティング論の観点から研究を進めているチームは、広告やブランドなどを研究対象とした応用的な研究成果を発表した。また、社会心理学、行動経済学の観点から研究を進めているチームは、意思決定尺度の開発、選好逆転に関する研究成果を発表した。 後半では、新たな研究テーマと研究仮説の検討を中心に研究を進めた。これまでの研究成果を土台とした上で、先行研究の知見を研究会にて共有した。新たな研究テーマの設定を行った。比較の方向性効果や身体化認知(embodied cognition)がその一例である。調査を実施し結果が出たものに関しては、消費者行動の学会にて発表を行った。 また、研究会メンバー以外の研究者を招聘し、最新の知見についてレクチャーを受けるとともに、研究成果に関する議論を行った。2014年7月には、解釈レベル理論の研究で顕著な業績を残しているFujita Kentaro氏(オハイオ州立大学)、行動経済学で顕著な業績を残している大垣昌夫氏(慶応義塾大学)を招き、解釈レベル理論に関するシンポジウムを行った。これまでの研究成果を報告し、改善点や今後の研究の方向性について議論した。また、2015年3月には、社会心理学者として解釈レベル理論を研究している伊藤言氏(東京大学)、井上裕珠氏(一橋大学)を招聘し、解釈レベル理論の最新の知見についてレクチャーをして頂いた。特に、先行研究における調査の問題点、理論自体が抱える問題点などに関する知見を教授して頂いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目標は、これまでの研究成果、知見を土台として研究成果を蓄積し、その成果を国際学会で発表すること、査読付き学術誌に論文を掲載することであった。 本年度は、マーケティング論の研究において有望な調査結果を得ることができた。そして、それ らを米国心理学会(American Psychological Association: APA)、米国消費者行動研究学会(Association for Consumer Research: ACR)などの国際学会にて発表を行うことができた。特に、米国心理学会での発表は、元々、ポスターセッションでの発表申し込みをしたのだが、興味深い研究ということで、主催者より口頭発表への変更を打診された。その依頼を受け、口頭発表をすることとなった。また、これら以外にも、消費者行動研究学会、日本社会心理学会、日本心理学会など、日本国内の関連学会にて研究成果を発表することができた。このように、研究成果を発信するという点においては、概ね順調に研究が進んだ。 しかしながら、今年度は調査結果の蓄積に注力したこともあり、学術誌での論文掲載という点では、大きな成果を残すことができなかった。今後は、海外の査読付き学術誌をはじめとする、よりプレゼンスの高い学術誌で論文を掲載できるよう、研究を進めていく必要がある。解釈レベル理論で成果を残している複数の社会心理学者より 研究の発展性に関する意見を頂いている。来年度はこれらの意見を参考にしつつ、より質の高い研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、今年度に引き続き、主に消費者行動の観点から解釈レベル理論に関する研究を行っていく予定である。特に、学術誌の査読に耐えうるような質の高い研究成果を残すことが目標となる。 これまでは、先行研究のレビューに時間をかけて論理を固めることを重視していた。しかし、必ずしも効率的な方法ではないと考えられる。特に消費者行動の研究では、調査の実施状況や回答の信頼性によって、結果が大きく変わってしまうことも珍しくない。従って、調査の回数を増やしてデータを取得することで、仮説と結果の精度を高めることが望ましいと思われる。来年度は、研究の進め方を、調査中心に変えることで今年度達成できなかった目標を実現できるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2013年度に民間財団より助成金を獲得し、関連するテーマでの研究を開始した。このため、関連する研究テーマの進め方を一部見直した結果、計画通りに予算を執行することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、本年度に実施した調査の中で、研究を進展するための有効な方向性に関する検討を行っている。ここで見いだされた方向性に沿って、調査の回数を増やしてデータを取得することで、仮説検証の精度を高めていきたいと考えている。
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