研究課題/領域番号 |
25285144
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
内藤 文雄 甲南大学, 経営学部, 教授 (80188862)
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研究分担者 |
松本 祥尚 関西大学, 会計研究科, 教授 (30219521)
林 隆敏 関西学院大学, 商学部, 教授 (50268512)
宮本 京子 関西大学, 商学部, 准教授 (50407334)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 会計学 / 企業リスク情報 / 非財務情報の保証 |
研究実績の概要 |
本研究では、金融商品取引法にもとづく企業内容開示制度における企業リスク情報の開示のあり方と当該情報の信頼性の確保のための監査による保証の仕組みのあり方を過年度実施の研究調査成果を踏まえて発展的に解明することを目的とする。発展的解明として、第一に開示のあり方について、企業リスク情報開示の積極性をクラスター分析によりグルーピングし、積極性を基準とするグループ間のダイバージェンスを開示実態から実証すること、第二に保証の仕組みについて、保証の鍵概念である保証水準を科学的分析の俎上に載せるためその計測を試みることをねらう。 本年度は、上記研究目的の前者の開示実態のダイバージェンスを明らかにすべく次の2つの研究課題を実施した。つまり、(1) 企業リスク情報開示の積極性を基準とするダイバージェンスを開示実態から実証、(2) 企業リスク情報の信頼性の保証にかかる日米英独仏の5か国の公認会計士への質問票調査およびリスク情報の内容や情報特性に対応した監査・保証における判断内容・規準の解明である。 研究課題(1)について、日米英独仏5か国の上場会社各国300社(日本は600社。合計会社数1,800社)の法定開示財務書類を入手し、企業リスク情報を抽出・整理し、データ・ベースを作成した。本データ・ベースは、今後の分析の基礎データを形成するためのもので、国内外において類似のデータ・ベースは存在していない点で貴重な成果である。かかるデータ・ベースに基づき、ROA等経営業績の優劣が企業リスク情報開示の積極性に影響を与えているかどうかの実証を実施した結果、日英については、法定開示書類記載内容が統一化されており影響を検出することはできなかったが、ドイツについては興味深い結果を得た。 また、研究課題(2)については、課題(1)の処理に予想外の時間がかかり、研究途上にあり、次年度に継続して実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に予定していた2種類の研究課題のうち、上記「研究実績の概要」に記載した研究課題(1)については研究調査を終え、成果を得たが、研究課題(2)については、その着手に至ったものの、課題(1)にかかるデータ・ベースの構築とそれに基づく分析に予想外の時間がかかり、研究課題(2)の実施に影響を与えた。これは、企業リスク情報は、記述的情報であることから、1社平均200ページに及ぶ財務情報のなかから網羅的にこれを抽出することに多くの時間がかかったこと、また、ドイツやアメリカの場合には開示様式が画一的ではないことから、網羅的な抽出には慎重にならざるをえなかったことにその原因がある。 しかしながら、研究課題(2)についても分析の視角を検討しており、次年度にはスムーズに研究を進行できるだけの準備的作業は完了している。このため、「やや遅れている」との評価としたものである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に積み残した、上記「研究実績の概要」に記載した研究課題(2)を年度早期に実施し、当初に計画した最終年度の研究計画を着実に実施する予定である。 また、研究体制として、研究分担者との関係も良好であり、精力的に作業を継続してもらえることを確認しており、研究遂行上の支障は全くない。
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