研究課題/領域番号 |
25285146
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田辺 俊介 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (30451876)
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研究分担者 |
松谷 満 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (30398028)
丸山 真央 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (80551374)
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
濱田 国佑 東京女学館大学, 国際関係学部, 講師 (50634523)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 政治意識 / 地域効果 / 社会調査 / 排外性 |
研究概要 |
本研究は、日本全国を対象とした大規模な量的社会調査を行い、そのデータを分析することで、ナショナリズムや政治意識の実証分析を行うものである。初年度となる2013年度は、日本全国を対象とし、次年度以降の詳細な統計分析に耐えうる質の高いデータを得ることが目標であった。そして実際、全国51地点10200名を対象とした量的社会調査を企画・実施し、4133票を回収し(転居先不明の方など調査不能の方を除いた回収率は42.2%)、量・質ともに学術的な検証に耐えうるデータを得ることができた。 その調査の企画と平行して行った理論的な検討の成果は、以下の通りである。まず昨今の排外主義運動の先鋭化を踏まえ、その要因として挙げられる要因(「社会不安」・「剥奪感」等)についての議論を深め、それらを調査項目に追加した。また主要な研究対象であるナショナリズムについては、その理論図式を含めた再検討を行い、その成果をアメリカ社会学会・日本社会学会において報告した。 実査については、まず8月~9月に、外国人居住比率で三層に層化した全国の市区町村の中から、各層17市区町を人口比に合わせて無作為抽出した。その上で、各市区町の選挙人名簿をもとに20~79歳の日本国籍保持者を対象としたサンプリングを行った。 そのようにして得た計画サンプル10200名に対して、郵送法による実査を行った。時期は11月から12月にかけてであり、上記のように一部インターネットによる回答を含め、4133票の回答を得た。さらにそのデータを入力し、基礎的なクリーニング作業を行い、分析可能なデータを創出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、日本全国を代表しうる量的社会調査データを得ることで、昨今のナショナリズムの高まりや対外国人意識、政治意識の実証的解明を行うものである。さらに2009年に行った同様の調査と比較可能なデータを得ることで、2時点間の比較を行うことも目的の一つである。さらに前回2009年の調査では予算上の制約から地点数が不十分であったため十分に行うことができなかった地域差や地域の状況の影響を詳細に検討できるデータを得ることも、本研究の目指す事柄であった。 そのため2013年度は、目的を達成するために必要なデータを得ることが必要なタスクであった。そして計画に従い、全国51地点を対象とし、計画サンプルサイズ10200の大規模社会調査を実施し、その結果4133票の回答を回収した。さらにその回収票についての入力作業を行い、初期クリーニング作業も終わって、分析可能なデータを作成した。そのように2013年度の最大の目標であった調査実施とデータ作成をほぼ達成した。 以上のような進展状況から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、2013年度に得たデータのクリーニング作業やコーディング作業を進めることで、より精度の高いデータにする作業が必要である。具体的には職業のコーディング作業や、51地点のマクロデータの整備・作成などである。 それらデータの利用可能性を高める作業を行うと同時に、全体研究会、各研究班別の研究会を活性化させることで、そのデータを元にした研究をより推進していく。またそれら研究会での討論を通じて研究を深めて行くのみならず、各種学会大会(具体的には2014年7月に横浜で開催される世界社会学会大会や、11月に開催される日本社会学会大会)において積極的に報告を行い、知見の発信に努める。 さらに可能な限り論文作成も行い、各種学会誌・査読誌に投稿したり、あるいはディスカッションペーパーなどの形でWebにアップするなど、論文としての成果も公表していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定では、対象者の内の希望者向けて、調査結果についての簡易な報告書を2013年度中に完成させ、送付予定であった。使用しなかった額のほとんどは、その報告書の印刷代と送付費用と考えていた。 しかし研究テーマが昨今話題の対中国関係やナショナリズム、政治行動を含むものであるため、研究グループ内の討議の結果、拙速な結果報告が誤った解釈を招く危険性が指摘され、慎重に結果を発表すべきとの見解に達し、その作成・送付を遅らせた。そのため、次年度使用額が生じた。 上記のように調査対象者向けの報告書の印刷費とその送付費用として本年度使用予定である。
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