研究課題/領域番号 |
25285153
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
横田 尚俊 山口大学, 人文学部, 教授 (10240194)
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研究分担者 |
室井 研二 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20310013)
黒田 由彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30170137)
檜槇 貢 長崎国際大学, 人間社会学部, 客員教授 (40337423)
田中 重好 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50155131)
平井 太郎 弘前大学, 地域社会研究科, 准教授 (70573559)
速水 聖子 山口大学, 人文学部, 准教授 (90271098)
小内 純子 札幌学院大学, 社会情報学部, 教授 (80202000)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自治体間支援 / 大規模災害 / 創発型支援 / ガバナンス / フィードバック効果 |
研究実績の概要 |
平成26年度には、自治体間支援に関する量的調査データを地方ごとに比較・分析した上で、新しい支援の取り組みに関する事例研究に着手した。また、新たに北海道地区における自治体間支援(量的調査および質的調査)にも着手した。自治体間支援の「フィードバック効果」に関する量的調査データ(北海道地区を除く)の分析からは、以下の点などが明らかになった。 1 被災地に近い東北地方の自治体で、災害支援への積極的意義を認める傾向が他地方の自治体に比べて強い。 2 東海地方では、災害支援により「市民との協働」や「民間団体との交流」が活発化する傾向が見られたのに対して、東北地方では、町内会など地域住民組織の活動が活発化し、市町村とそれら団体との協力関係が強化される傾向が見られた。 3 南海トラフ地震の被害が懸念される四国地方では、支援活動の成果を地域にフィードバックする活動が活発であり、それらが防災対策の見直しへと結びつく傾向が見られる。 これらの特質(地方間の差異)を左右するのは、被災地との距離や地域社会の特質(たとえば都市度)、大規模災害に対する危機意識などであると考えられる。 事例研究には着手したばかりであるが、産業都市の「ガバナンス型支援」や大都市の「避難者受け入れ支援システム」形成(札幌市)において、核となる団体を中心に、自治体行政を含めた支援活動ネットワークが形成されていること、そうした団体は災害以前から社会問題解決のために活発に活動していたり、既存のネットワークを活用しつつ災害発生後早期に創発したりしていることが明らかになっている。これら「ガバナンス型支援」の特質、形成過程と活動成果、成立条件とフィードバック効果などについて、今後、調査と分析をさらに進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
量的調査データの基本的な分析を実施したが、新たに実施した北海道地区調査との比較・分析が終了していない。 また、創発型支援・「ガバナンス型支援」の事例研究に着手してはいるものの、調査の進捗がやや遅れている。 現時点での調査結果に基づく研究成果をとりまとめているが、年度中に完成することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
北海道地区も含めた量的調査データの比較・分析を行った上で、創発型自治体間支援のうち「ガバナンス型支援」を実施した自治体の取り組み事例について質的調査を進めていく。また、現時点での研究成果を今年度中にとりまとめる。 さらに、特定の地域を対象にして、被災地自治体と支援自治体との関係を明らかにするための量的調査を実施すべく検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度完了する予定だった自治体間支援調査(量的調査)データの分析を今年度実施する形となり、創発型支援(とりわけ「ガバナンス型支援」)に関する事例調査を十分に進めることができなかった。また、研究会における検討の中で、今後の調査戦略を見直し、予定していた量的調査の課題を変更し、企画を練り直す作業を行ったため、予算の一部を次年度に繰り越すに至った次第である。
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次年度使用額の使用計画 |
「ガバナンス型支援」に関する詳細な調査研究と新たな量的調査(被災地における被災自治体と支援自治体との関係に関する調査)の実施に使用するよう計画している。
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