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2015 年度 実績報告書

日本人のパーソナル・ネットワークの変化を捉える

研究課題

研究課題/領域番号 25285158
研究機関日本女子大学

研究代表者

石黒 格  日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (90333707)

研究分担者 三田 泰雅  四日市大学, 総合政策学部, 講師 (30582431)
野沢 慎司  明治学院大学, 社会学部, 教授 (40218318)
針原 素子  東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (80615667)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードパーソナル・ネットワーク / ICT利用 / 時系列的クロスセクショナル・データ / ネットワーク・サイズ / ソーシャル・サポート / 主観的幸福 / 配偶者関係 / 親子関係
研究実績の概要

2014年度に行った本調査は、1993年の先行調査の質問紙を可能なかぎり忠実に再現したため、社会関係の親密性や主観的厚生などといった、社会関係の変化の意味を考える上で重要な変数を測定できていなかった。2015年度は、2014年度と同一の調査地域において、これらの変数の他、ICTの一般的な利用頻度を質問項目に加えた郵送調査を行った。
2015年度調査の結果は、十分にまとめられたとは言えない状態であり、今後、さらなる分析が必要となるが、すでに以下の点が明らかになった。
第一に、社会関係が量的に少ない回答者は、主観的幸福感が低い傾向にあった。この結果は、先行研究と一貫する。しかし、2014年度調査で確認されたネットワーク・サイズの減少量から推測すると、主観的幸福感の減少量は、10点満点で見て0.03点にすぎなかった。つまり、大きな変化があったとは言いがたく、過去20年間における日本人のネットワーク・サイズの変化は、主観的幸福感の観点から見たときには、大きな意味を持たない。
第二に、ICTの利用量が、ネットワーク・サイズに与える効果について検討した結果、その効果が非常に小さいことが明らかになった。メール、代表的な3つのSNS(mixi, Facebook, Twitter)、LINEの計5つのサービスについて利用頻度を尋ね、ネットワーク・サイズとの関係を検討したところ、メールのみが、友人数と正の関係を示した。まったくメールを使わない回答者と、もっとも多く使う回答者とで、友人数には0.80人の差があった。この差は、欧米の先行研究と比較すると小さいが、親密度の高い友人のみが測定対象となっているためだと考えられる。Twitterは、親族数と負の関係があった。この理由は不明である。
2014年度調査の結果を中心として、227ページからなる調査報告書を刊行した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画では、最終年度は報告書の執筆と研究発表のみで終わる予定であったが、プロジェクト・メンバーの強い意欲の下、追加調査を実施し、期待通りの成果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

今後の研究は、以下の3つの活動を主軸として進める。
第一に、データの分析をもとに、学会発表や論文の投稿を行う。
第二に、報告書を基盤として、さらなるデータ分析の結果を加えて書籍化を行う。本研究の土台となった1993年の調査は書籍としてまとめられており、本研究課題の成果は、その理念的続編として、さらには批判的再検討としての重要な価値を持つ。また、社会関係の変化について関心を持つ一般の読者の注目も集めると考えられる。
第三に、データの公開を行う。本研究課題は、RUDAやSSJDAといったデータ・アーカイブからデータの二次利用の許可を得ることで、初めて実行できた。本研究課題のなかで取得したデータも、データ・アーカイブに寄託し、学術研究者に広く利用してもらうことで、類似の研究を刺激したい。

次年度使用額が生じた理由

追加調査を行ったため、そこで得たデータの分析や公表のための時間が不足した。特に、英字誌への投稿後、レフェリーとのやりとりや、原稿の修正に時間を要した。

次年度使用額の使用計画

英字誌に投稿する原稿の、英文校閲にかかる費用に充当する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Extroversion and neuroticism affect the right side of the distribution of network size.2016

    • 著者名/発表者名
      Ishiguro, I.
    • 雑誌名

      Social Networks

      巻: 44 ページ: 219-225

    • DOI

      10.1016/j.socnet.2015.10.004

    • 査読あり
  • [学会発表] 20年間の親密な友人関係における接触頻度の変化2016

    • 著者名/発表者名
      石黒格
    • 学会等名
      日本数理社会学会第61回大会
    • 発表場所
      上智大学(東京都千代田区)
    • 年月日
      2016-03-17 – 2016-03-17
  • [学会発表] 社会関係は「解放」されたか2015

    • 著者名/発表者名
      石黒格
    • 学会等名
      日本社会心理学会第56回大会
    • 発表場所
      東京女子大学(東京都杉並区)
    • 年月日
      2015-11-01 – 2015-11-01
  • [学会発表] 1993-2014年間の日本人のネットワーク・サイズの変化2015

    • 著者名/発表者名
      石黒格
    • 学会等名
      日本グループ・ダイナミクス学会第62回大会
    • 発表場所
      奈良大学(奈良県奈良市)
    • 年月日
      2015-10-11 – 2015-10-11

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公開日: 2017-01-06  

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