軍事基地が日常的に存在する地域社会の人々の暮らしはどのようなものであるかの解明を目指している。フィールドを沖縄本島とし、7-9月、2-3月が調査期間となる。その他の期間にはメンバー間の情報共有のため毎月の研究会がもたれる。軍用地料が共有地に対して配分されている自治体が対象となり、25年度は配分のある自治体の当該課を中心に資料収集した。 26年度は区レベルのヒアリングに移行し、分収金収入のあるすべての区長のヒアリングを試みた。隣接する分収金のない区にも、比較対照のため可能なかぎりヒアリング調査を試みている。軍事基地が返還されると軍用地料は当然入ってこなくなる。定期的に入る収入の途絶に対して、自治会・区レベルでも、いかなる対応策を立てるのか、返還地の再開発ともからみ、重要な課題として浮上してきた。当該の自治体、区へのヒアリングがなされた。 27年度は最終年度である。さらに住民の活動に密接にかかわる区や自治会に注目してヒアリングがなされた。北部と中部や都市化の進行する南部の違いも視野に入ってきた。区や自治会は自治体によっても数的に多寡があり那覇市の160を筆頭に、自治会多くを抱える自治体にはアンケート調査も視野に入れ、研究を前進させた。基地使用料が入る市町村自治体であっても直接的に恩恵を受ける区・自治会や間接的に配分の恩恵を受ける区・自治会、まったく恩恵を受けることのない区・自治会があり、隣接する場合や遠望する場合と多様に存在する。北部や中部のように日常的に身近にその差を体験する場合、南部のように大多数は恩恵を受けないが、一部に恩恵を受ける区・自治会が存在する場合とであるが、沖縄社会に生活する以上情報はもたらされ、無縁ではいられない。那覇市に近接し都市化された地域の区・自治会の活動の持つ意味が重要性を増すゆえんであり、残されたわれわれの課題でもある。
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