研究課題/領域番号 |
25285166
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岡田 進一 大阪市立大学, 生活科学研究科, 教授 (20291601)
|
研究分担者 |
岩間 伸之 大阪市立大学, 生活科学研究科, 教授 (00285298)
関川 芳孝 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10206625)
西田 芳正 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10254450)
鵜浦 直子 大阪市立大学, 生活科学研究科, 講師 (10527774)
小野 達也 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (30320419)
嵯峨 嘉子 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (30340938)
山野 則子 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (50342217)
所 道彦 大阪市立大学, 生活科学研究科, 教授 (80326272)
清水 由香(丸山由香) 大阪市立大学, 生活科学研究科, 助教 (90336793)
野村 恭代 大阪市立大学, 生活科学研究科, 准教授 (10461188)
中島 尚美 大阪市立大学, 生活科学研究科, 講師 (00510174)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 社会福祉関係 / 生活困難 / 総合相談 / 地域福祉 / 生活困窮 / 大都市 / 社会的包摂 / ソーシャルネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究は、具体的な生活困窮者支援策を検討するために行われた研究プロジェクトであり、大きく3つの研究から成り立っている。1つ目は、生活困窮者支援策を検討するために行われたニーズ把握調査研究(量的研究)であり、2つ目は、ニーズ把握調査結果を踏まえた民生委員・児童委員に対するインタビュー調査研究(質的研究)である。3つ目は、自立相談支援事業における総合相談評価システムの開発を行うためになされた研究(質的研究)である。 ニーズ把握調査研究およびインタビュー調査研究の結果、経済的な生活困窮と関連が強い生活状況に関する項目に、「家賃や住宅ローンの支払いが滞ったことがある」「国民健康保険料の支払いが滞ったことがある」「電話(固定・携帯)の通信料の支払いが滞ったことがある」「病院・医院にかかれなかったことがある」などがあった。また、経済的な生活困窮と関連が強い社会的つながりに関する項目に、「地域の自治会に入会していない」「過去3か月の間に、家族以外の人と食事をしたことがない」「友人づきあいがない」「過去1年間に、家族以外の人と話をしたことがない」などがあった。さらに、基本属性においては、一人暮らし(若年層・中年層)の状況も、経済的に生活困窮となる確率が高くなることが明らかとなった。 総合相談評価システムの開発に関する研究では、2つの評価点が明らかとなった。1つ目は、自立相談支援機関における総合相談が効果的に展開されるための組織運営が適切であるかどうかという運営面に着目した評価点である。2つ目は、各個別事例における総合相談が適切になされたかどうかの支援に関する評価点である。これらは、自立総合相談支援において非常に重要な評価点であり、質的な調査研究に基づいて実証的に導き出された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進み、計画で予定された内容が実行されている。今年度の研究で、【生活ニーズ研究班】は、生活ニーズや生活困窮の状態像を明らかにし、生活ニーズの類型化を行うことができた。また、生活ニーズ・アセスメントで必要となる基本的な情報分析が終了し、最終年度に向けての基本的な資料・データ収集が終了した。【援助の担い手研究班】は、総合相談で必要となる運営方法、事例検討のあり方、担い手の機能、地域における担い手の開発方法などを明らかにし、最終年度に向けて、総合相談における具体的なモデル提示の準備が整えられた。これらの内容は、申請書の研究計画で予定された内容であり、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度においては、平成25年度及び平成26年度の研究成果を踏まえて、1年間を通じて月に数回のペースで合同研究会を開催し、最終的なモデルの構築を行う。4月から9月にかけては、生活困窮者支援における総合相談のプロセスや体制(総合的・包括的アセスメント・支援計画・支援のための事務局体制等)の明確化、ソーシャルネットの構成要素である支援機関や支援関係者の機能の設定、支援における留意点の明確化や支援モジュール等の設定を行う。10月から翌年の1月にかけて、モデル実施の現実性、モデル実施における有益性・簡便性・妥当性の確認を行うため、関係機関職員に対するインタビュー調査等を実施する。合同研究会での検討やさまざまな調査を踏まえて、生活困窮者支援における総合相談を基盤とする予防ソーシャルネットの成立要件及び構造と機能を整理し、最終的なモデル化を行う。 モデル化にあたっては、実用的なシステムとするために、行政、総合相談事務局、その他の関連機関、キーパーソン等の機能を具体的に示し、地域のレベルに対応した複数のモデル提示を行う。また、総合相談における支援プロセス、援助計画の具体的な方法、各機関や関係者で行われる支援内容についても具体的に提示する。1月から3月にかけては、最終的なモデル案についての討議を行い、モデルの確定を行う。そして、平成27年度の研究成果を報告書にまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、当初予定していた調査を実施したが、回収率がやや低く、分析入力に係る費用(人件費)および回収郵送費が計画より少ない使用額で実施することができたためである。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度において、追跡調査及びインタビュー調査を実施する予定であり、当初の計画より多くの対象者に対してインタビュー調査を行うこととしたい。そのため、次年度使用額を活用して適切な調査を実施する。
|