研究課題/領域番号 |
25285169
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
菅沼 隆 立教大学, 経済学部, 教授 (00226416)
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研究分担者 |
土田 武史 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (10172024)
新田 秀樹 中央大学, 法学部, 教授 (70303576)
森田 慎二郎 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (00405937)
山田 篤裕 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (10348857)
中尾 友紀 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (00410481)
百瀬 優 流通経済大学, 経済学部, 准教授 (00386541)
岩永 理恵 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (60438166)
田中 聡一郎 関東学院大学, 経済学部, 講師 (40512570)
深田 耕一郎 立教大学, 社会学部, 助教 (40709474)
浅井 亜希 立教大学, 法学部, 助教 (40709573)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会保障 / 国民皆年金・皆保険 |
研究概要 |
本研究では、オーラルヒストリー研究の手法を用いて、国民皆保険・皆年金体制の形成と展開に関与した官僚・キーパーソンに対する聞き取りを実施している。研究目的には、政策決定プロセスで様々なビジョン・提案が提出される経緯および取捨選択される経緯を明らかにし、またその証言を後世に残すことを挙げている。 2013年度の前半は、メンバーによる研究会を4回開催し(聞き取り手法の講習、年表作成、ヒアリング対象者の選定・テーマ設定等)、研究体制の構築を行った。また後半は、オーラルヒストリーの実施に注力し、国民皆保険に深く関与した元厚生省事務次官への聞き取りを4回実施した。これにより、医療保険や医療供給体制の課題の変遷等についての重要な証言を得た。さらには、児童手当創設に深く関与した元厚生官僚の聞き取りも実施し、次年度は皆保険・皆年金の実施状況についての聞き取りが予定されている。 また、研究者の政策関与を確認するために、社会保障の研究者オーラルヒストリーも併せて実施することとした。研究者のオーラルヒストリーは、社会保障制度を考察するうえでのビジョンの変化を明らかにすることを目的として、社会保障研究の重鎮3名の聞き取りを実施した。初年度の実績としては、元厚生官僚2名、研究者3名の速記録を現在編集中であり、その報告書はオーラルヒストリーとして、国立国会図書館や各分担研究者の大学図書館に納められ、研究成果として公開されることとなる。 さらに、次年度以降の聞き取り対象者との調整も進めており、元厚生官僚等の聞き取りも決定する等の研究上の進捗もあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書では、「平成25年度は主にテーマ設定・インタビュー対象者の選定等を秋までに実施し、ヒアリングを開始する予定である」とある。その計画通り、9月までに、医療・年金・福祉分野の重要施策や当時の担当課長等をまとめた年表・インタビュー時の論点整理などの資料作成を終えた。また秋からは、オーラルヒストリーによる記録も開始し、最終的に(研究者も併せて)5名の聞き取りを行った。これらの研究成果については、研究目的および研究計画に照らし合わせてみても、順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2013度は医療・福祉分野でのオーラルヒストリーに着手したが、今年度は年金分野でのオーラルヒストリーも実施することにより、国民皆保険・皆年金体制の形成と展開の全体像の把握に努める。2014年3月末時点でも、厚生官僚および研究者の新たな聞き取りについて内諾を得ており、それらの聞き取りおよび報告書としての公開を着実に実施することが必要である。また本研究の実施の過程において、学術的価値の高い1960年代~80年代の社会保障制度審議会の資料の入手が実現したため、同資料の整理等も進め、オーラルヒストリーの証言の補完を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額」が生じた理由は大きく2つある。1点目は、インタビュー経費(謝礼・テープ起こし代)については、初年度であることもあり、またすべての候補者がインタビューを承諾してくれるとは限らなかったため、事前に確定することが難しかったことがある。しかしながら、本年度末からヒアリング対象者の日程調整が大きく進んだため、次年度に使用する。そして2点目は、年度末に実施されたインタビュー経費については、基金分で、次年度に支出することにしたためである。共同研究者の校務の関係から、ヒアリングの実施が春休み期間の3月末に集中した。そのため、インタビュー経費を基金分から支出する必要があった。 次年度の使用計画であるが、現在、元厚生官僚および研究者へのインタビュー、インタビュー成果の冊子化が予定されている。謝礼やテープ起こし代などの経費、および研究成果を発表するための冊子の出版代などを本研究費用から使用する。
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