研究課題/領域番号 |
25285175
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研究機関 | 鎌倉女子大学 |
研究代表者 |
杉原 陽子 鎌倉女子大学, 家政学部, 准教授 (80311405)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域包括ケアシステム / 政策評価 / 低所得者 / 認知症 / 生活支援 / ケアネットワーク / ボランティア |
研究実績の概要 |
本研究は、東京都内の一自治体にて地域包括ケアシステムの構築に関するプロセス評価とアウトカム評価を行い、地域包括ケアシステムを構築する上での示唆を得ることを目的としている。2年目となる平成26年度の課題は、(1)初年度に実施した調査を解析し、地域包括ケアに係る課題を抽出する、(2)調査結果を地域包括ケアに係る関係機関等に報告し、結果の妥当性の検証及び現状における課題と今後の展開について検討する、(3)自治体や地域包括支援センターの職員、介護サービス事業所のケアマネジャー、民生委員等にヒアリングを行い、現状と課題を調査することであった。 ベースライン調査で把握した課題のうち、関係者の関心が高かったのは「住まい」「健康格差」「認知症対応」であった。「住まい」に関しては、寝たきりになった時の療養場所の希望は『施設介護志向』の人が4割弱と最多であるにも関わらず、特養待機者が多く、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅も経済的な理由で入居者が限定されるため、住民の希望と現実に差があった。「健康格差」に関しては、本人と世帯全員が非課税となる世帯では4割弱が健康状態を良くない(あまり良くないも含む)と評価していたのに対し、所得が年125万円以上の世帯ではそのような評価は2割である等、低所得者ほど身体・精神的健康状態が低位であった。「認知症対応」に関しては、早期発見・早期治療のためのネットワークづくりや若年性認知症への対応、家族の介護負担への対応を地域包括ケアシステムの中にどのように位置づけるかが課題として指摘された。上記の他に、関係機関に対するヒアリングから明らかとなった課題として、地域包括支援センターの機能強化、地域包括ケア会議の運営、関係機関の連携、在宅療養推進協議会の設置、生活支援事業の整備、多様な住まいの整備、住民の互助(地域ケアネットワークの構築やボランティアマネジメント)等が抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した目的と計画の通りに研究を実施することができたので、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
(1)プロセス評価に関する研究計画: 前年度に引き続き、自治体、地域包括支援センター、介護・医療サービス事業者、ボランティアや民生委員、等に対して調査を行い、地域包括ケア提供体制の構築過程における達成状況と課題を評価する。特に、先進的な取り組みを行っている事例について調査を行う。 (2)アウトカム評価に関する研究計画: ベースライン調査のデータを分析し、結果を口頭・誌上にて報告する。次年度に実施する追跡調査の準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
音声データの反訳に係る業務委託や英文校閲などの委託費に研究費を執行する予定だったが(「その他」の支出費目)、データ反訳の作業等を研究者自身でかなり行ったため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
成果発表のための旅費や次年度予定している調査の費用(協力者への謝金、データ処理の委託費等)にあてる予定である。
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