研究課題
東京都内の一自治体にて、地域包括ケアシステムの構築に関するプロセス評価とアウトカム評価を行った。プロセス評価については、関係機関を対象に提供体制の構築、サービスの整備、支援の連携・マネジメントについてヒアリング調査を行った。その結果、多様なサービス確保の目途が立たず、地域包括支援センターや民生委員は自治体からの後方支援の不足を訴える等、地域包括ケアシステムを構築する上での自治体の保険者機能に関する課題が抽出された。アウトカム評価は、65歳以上住民、要支援認定者、要介護認定者の介護者に対する郵送および訪問面接調査を行い、2013年に実施した同様の調査結果と比較することで、地域包括ケアシステムの進展によりどのような効果があったのかを検証した。その結果、介護サービスや生活支援ニーズの充足状況、生活上の不安、施設入所希望、介護者の負担感、介護離職状況などは3年間でほとんど変化がなく、地域包括ケアシステムの進展を伺えるような成果は見られなかった。新しく導入された介護予防・日常生活支援総合事業については、まだ知らない人が多く、特に健康問題が比較的多い人において事業の認知度が低かったことから、周知面での課題が示された。一方、高齢者や介護者を取り巻く状況は3年間で厳しくなっており、一人暮らしの要介護認定者の増加、家族から支援を得ている人の減少、介護者に対する支援の減少などの傾向が見られた。さらに制度改定により一定以上の所得がある人はサービス利用料の自己負担割合が2割に引き上げられたが、2割負担の人の半数がサービス利用料を負担に感じていることがわかった。全体的にみると、3年間では地域包括ケアシステムの進展を伺えるような変化は見いだせず、むしろ、この間の私的支援態勢の弱まりや介護保険制度改定によるネガティブな影響が高齢者や介護者に対してあった可能性が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
Research on Aging
巻: - ページ: -
10.1177/0164027517701446
老年学雑誌
巻: 7 ページ: 31-44
Population health metrics
巻: 14 ページ: -
10.1186/s12963-016-0095-z
応用老年学
巻: 10 ページ: 4-12