謙遜についての比較文化的研究を行い、21カ国の国民を対象にした調査及び実験的な研究により、謙遜が文化に共通した価値であることを確認した。より具体的には、謙遜の目的が低い自己評価の提示ではなく、謙虚であることを示すことにあることが、確認された。さらに、一方では、実験研究により、謙遜の程度や仕方には、文化差があることを示す結果が得られた。同じように謙遜しているといっても、文化により、その謙遜が意味する自己卑下の程度が異なっていることがわかった。さらに、謙遜を行った際には、自分の能力は相手に低く評価されることなく、自分が謙虚な人物であると評価されたときに謙遜がうまく行ったと考えることが明らかになった。このことは、どの文化においても、謙遜を行う際には、自己呈示的な動機が共有されていることを意味する。一方、IATの結果及びERPの結果からは、謙遜に関して明確な結論を導けるようなものではなかった。
|